Googleの検索結果やAIの回答に、自社サイトがなかなか出てこない。そう感じている中小企業の経営者やWeb担当の方から、ご相談をいただくことが増えました。
順位を上げる以外にも、読者のほうから「このサイトの情報を優先して見たい」と指定してもらう道があります。それがGoogleの「優先ソース」という仕組みです。
2026年8月20日、Googleはこの優先ソースに登録してもらうためのボタンを、自分のサイトに埋め込めるようにしました。タグを2行貼るだけで設置できます。
この記事では、優先ソースとは何かをGoogleの公式ドキュメントに沿って整理したうえで、自社サイトが対象かどうかの確認手順、ボタンの具体的な設置方法、そして中小企業がこれをやるべきかどうかの判断基準までをまとめます。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
優先ソースとは?読者が「このサイトを優先して見たい」と指定できる仕組み

選ばれたサイトには「優先」のバッジが付く
優先ソース(Preferred Sources)は、検索する側のユーザーが「このサイトの情報を優先して見せてほしい」とGoogleに登録できる機能です。登録は読者一人ひとりの設定として保存されます。
Google検索セントラルの公式ドキュメントは、ユーザーがあなたのサイトを優先ソースとして選ぶと、そのコンテンツが「トップニュース」に表示されやすくなり、「優先」というバッジ付きで強調されると説明しています。
つまりこれは、検索結果の順位を争うのとは別の入口です。すでに自社を知っている読者に、検索画面のなかで自社を見つけやすくしてもらう仕組みだと考えてください。
出発点は「トップニュース」枠だった
優先ソースは、もともとニュース系の検索結果に出る「トップニュース」枠のための機能として始まりました。ニュースを読む人が、信頼している媒体の記事を優先して見られるようにする、という発想です。
提供範囲は段階的に広がっています。Googleの公式ドキュメントによると、2026年4月30日以降は、Google検索が使えるすべての言語でトップニュースの優先ソースが利用できる状態になりました。
日本語も当然その対象に含まれます。英語圏だけの話ではない、というのが最初に押さえておきたい点です。
2026年5月にAIによる概要とAIモードへ広がった
ここからが中小企業にとって見逃せない変化です。Googleは2026年5月27日、優先ソースの対象をAIモードとAIによる概要にも広げたと公式ドキュメントで明らかにしました。
ドキュメントの記述では、AIモードとAIによる概要において、あなたのサイトを優先ソースに選んだユーザーに対して、コンテンツが「優先」バッジ付きで強調される可能性がある、とされています。
AI回答のなかで自社が目立つかどうかに、読者側の設定が関わってくるということです。これまでのSEOにはなかった観点だといえます。
ただしこちらは、AIによる概要とAIモードが提供されている言語と地域に限られるとドキュメントに書かれています。トップニュースの優先ソースより範囲が狭い点には注意してください。

対象になるのはドメインとサブドメインだけ
公式ドキュメントは、優先ソースの対象になるのはドメイン単位とサブドメイン単位のサイトだけだと明記しています。ここは設置を検討する前に必ず知っておいてください。
たとえば「example.com」や「blog.example.com」は対象になりますが、「example.com/blog」というサブディレクトリは対象外です。他社のドメインを間借りしている場合も同じ扱いになります。
自社の独自ドメインでサイトを運営していることが、事実上の前提条件だと考えてよいでしょう。
2026年8月20日、自社サイトに置けるボタンが公開された

これまでは読者がGoogleの設定画面まで行く必要があった
優先ソースの登録自体は、以前からGoogleの「ソース設定」ページで行えました。ただし、読者はいったんサイトを離れてGoogleの設定画面に移動し、そこで自社名を検索して選ぶ必要がありました。
途中で離脱する読者が出るのは当然です。この手間が登録の広がりを抑えていた、というのが報道各社の共通した見方でした。
ボタンなら押したあとすぐ元のページに戻れる
2026年8月20日、Googleは埋め込み型の「優先ソースに追加」ボタンを公開しました。TechCrunchはこの日のうちに、AI検索による流入減に直面する媒体への施策として報じています。
公式ドキュメントの説明によれば、このボタンを押した読者はその場で優先ソースへの追加を完了し、読んでいたページの元の位置に戻ります。記事から離脱させずに登録してもらえるのが、この変更の本質です。
ボタンの見た目はGoogleが用意したデザインで、読者のブラウザ設定に合わせて自動的に翻訳されます。日本語のユーザーには日本語で表示されるということです。
Googleは「クリックされる確率が2倍」という調査結果を挙げている
気になるのは効果です。TechCrunchの報道によると、Googleは以前の調査で、優先ソースに登録されたサイトが検索結果に出たとき、ユーザーがそこをクリックする確率は2倍になったと説明しています。
ただしこれは「登録された場合に、その読者からのクリックが増える」という話です。登録者が増えなければ母数がないので、数字だけを見て過大に期待するのは避けてください。
あわせて、この2倍という数字の調査方法は公開されていません。Googleが示した社内の数字として受け取り、自社で同じ結果が出る前提では考えないほうがよいでしょう。
登録されたサイトはすでに60万件を超えている
Googleは8月20日の発表のなかで、これまでに60万を超えるサイトが優先ソースとして選ばれていると述べています。2026年5月時点では34万5,000だったので、3か月ほどで大きく伸びた計算になります。
世界中のサイト数から見れば、まだごく一部です。逆にいえば、同業のなかで先に手を付ける余地がまだ残っているということでもあります。
「Discoverにも効く」という説明には注意が必要
このニュースを扱った記事の多くが、優先ソースは検索・Discover・Googleニュースをまたいで効く、と書いています。ただ、Googleの発表文を読むと少し事情が違います。
Googleが優先ソースの効き先として挙げているのは、トップニュース・AIによる概要・AIモードの3つです。Discoverについては、同じ日に発表された「フィードを自分の言葉で調整できる機能」という別の話でした。
Googleニュースの音声ブリーフィングの話も同様に、優先ソースとは切り離された発表です。1本の発表に3つの機能が入っていたため、まとめて紹介されてしまったのだと思われます。
効果を見積もるときは、Discover経由の流入増まで期待に入れないほうが安全です。もちろんDiscover自体は中小企業にとって重要な流入経路なので、そちらはそちらで押さえておく価値があります。

まず確認|自社サイトが対象かどうかを調べる手順

手順1:ソース設定ツールに自社ドメインを入れてみる
ボタンを設置する前に、必ずやっておくべき確認があります。公式ドキュメントは、まずソース設定ツールの検索ボックスに自社サイトを入力して、候補に出てくるかどうかを確かめるよう案内しています。
ツールのURLは「www.google.com/preferences/source」です。Googleにログインした状態で開き、自社のドメイン名を入れてみてください。
ここに自社が出てこないサイトにボタンを置いても、読者は登録できません。作業としては1分で終わるので、最初に済ませてしまうのが確実です。
手順2:ドメインかサブドメインかを確かめる
前述のとおり、対象になるのはドメインとサブドメインだけです。自社サイトがどの形で運営されているのかを、この機会に確認しておきましょう。
無料のブログサービスや、ショッピングモールのなかに店舗ページを持っている場合は、その事業者のドメインの一部という扱いになります。この場合、自社単独で優先ソースに登録してもらうことはできません。
手順3:出てこないときに先にやること
ツールに出てこない場合、ボタンを置くより先にやるべきことがあります。継続的に記事を公開しているか、そもそもGoogleにインデックスされているか、といった土台の部分です。
優先ソースは「読者が繰り返し読みたい発信元」を選ぶ機能です。更新が止まっているサイトや、記事が数本しかないサイトが対象になりにくいのは、仕組みとして自然なことだといえます。
筆者がこれまで中小企業のサイトを見てきた経験からいっても、ここで焦って新しい施策を足すより、記事を出し続けるほうが結果的に近道になることがほとんどです。
ボタンの設置は「必須ではない」とGoogleは明記している
公式ドキュメントには、ここで紹介されている方法は読者に知ってもらうための一例であり、優先ソースとして表示されるために必須のものではない、という趣旨の注意書きがあります。
ボタンを付けたからランキングで優遇される、という話ではないということです。あくまで、読者に選択肢があることを知らせるための導線だと理解してください。
設置方法|2行のタグを貼る方法と、リンクだけで済ませる方法

方法1:標準のJavaScript(Googleの推奨)
公式ドキュメントが推奨しているのは、HTMLに2行を足すだけの方法です。読者にとっていちばん分かりやすい体験になる、というのがGoogleの説明です。
1行目は、ライブラリを読み込むスクリプトタグです。head要素のなかに入れることが推奨されています。
<script async src="https://news.google.com/swg/js/v1/publisher.js"></script>
2行目は、ボタンを表示したい場所に置くdivタグです。body内の好きな位置に入れれば、そこにボタンが描画されます。
<div google-add-preferred-source-btn></div>
やることはこの2行だけで、画像の用意もデザインの調整も要りません。ボタンの見た目と翻訳はGoogle側が用意します。
背景が暗いサイトはテーマを切り替える
ボタンは初期状態では明るいテーマで表示されます。背景が濃い色のサイトでは、暗いテーマに切り替えたほうがなじみます。
divタグにdata-theme属性を足して、lightまたはdarkを指定してください。書き方は次のとおりです。
<div google-add-preferred-source-btn data-theme="dark"></div>
表示言語を日本語に固定したいとき
ボタンの文言は、初期状態では読者のブラウザ設定の言語で表示されます。日本語のサイトでも、英語環境の読者には英語で出るということです。
常に日本語で出したい場合は、data-lang属性で言語コードを指定します。Googleは対応言語コードの一覧をCSVで配布しているので、迷ったらそちらを確認してください。
方法2:自社のデザインでボタンを出したいとき
自社サイトのデザインに合わせた独自のボタンから登録の流れを起動したい場合は、JavaScriptのSDKを使う方法が用意されています。公式ドキュメントではESモジュールとスクリプトタグの2通りが紹介されています。
ただしこちらは制作会社に依頼する前提の作業になります。読者から見た登録の流れ自体は標準の方法と同じなので、まずは2行の方法で始めて問題ありません。
方法3:JavaScriptが使えないときのリンク方式
CMSの制約などでJavaScriptを足せない場合は、リンクだけで代用できます。ソース設定ツールへ直接飛ばすURLを作る方法です。
「https://www.google.com/preferences/source?q=」のうしろに自社のドメイン名をつなげます。このURLをテキストリンクにしても、画像リンクにしても構いません。
Googleは公式の翻訳済みバッジ画像もZIPで配布しているので、自前で画像を作る必要もありません。このリンク方式は、メールマガジンやSNSの投稿にもそのまま貼れます。
WordPressではどこに入れるか
WordPressの場合、1行目のスクリプトタグはテーマの設定にある「head内に追加するコード」の欄に入れるのが一般的です。テーマによって名称は異なりますが、カスタマイズ画面のどこかに同等の欄があります。
2行目のdivタグは、記事の下に置きたければフッター用のウィジェットやテーマの記事下エリアに、記事ごとに置きたければカスタムHTMLブロックとして入れます。
テーマの設定ファイルを直接触る方法は、更新で消えるおそれがあるので避けてください。判断に迷う場合は、制作を依頼した会社に相談するのが安全です。
中小企業は設置すべきか?判断の基準と現実的な使い方

分かれ目は「継続して発信しているか」
判断の基準はシンプルです。自社サイトで記事やお知らせを継続して出しているなら、置く価値があります。会社案内とサービス紹介だけのサイトなら、優先度は低いと考えてよいでしょう。
優先ソースは、読者が「またこのサイトの新しい記事を見たい」と思ったときに使う機能です。新しい情報が出てこないサイトでは、登録しても読者側に得がありません。
効いてくるのは「すでに知っている人」だけ
もうひとつ、期待値の調整として押さえておきたい点があります。優先ソースの登録は、自社サイトを訪れた読者が押すものです。つまり、まだ自社を知らない人には届きません。
新規の見込み客を増やす施策ではなく、すでに接点のある人との関係を太くする施策だと位置づけてください。役割としては、メールマガジンの登録やSNSのフォローに近いものです。
順位を押し上げる仕組みではない
優先ソースに登録された数が増えても、通常の検索順位が上がるという説明はGoogleのドキュメントのどこにもありません。ここを混同しないよう注意してください。
変わるのは、登録した本人の検索結果での見え方です。他の人の検索結果には影響しません。順位そのものを動かしたいなら、記事の中身と内部リンクを整えるほうが確実です。
置き場所は「読み終わったあと」を選ぶ
設置場所は、記事の冒頭ではなく、読み終わったあとに目に入る位置をおすすめします。まだ内容を読んでいない読者に登録を促しても、押す理由がないからです。
記事の末尾、あるいは著者プロフィールの近くが自然です。ポップアップで画面を覆うような出し方は、読者の体験を損なうので避けてください。
問い合わせフォームへの導線と同じ場所に並べると、どちらも押されにくくなります。目的の違う導線は、少し離して置くほうがうまくいきます。
置いたあとに何を見ればいいか
優先ソースの登録者数を直接確認できるレポートは、現時点では用意されていません。そのため、効果は間接的な数字で追うことになります。
見るべきなのは、サーチコンソールでの自社名や商品名による検索(指名検索)の推移と、主要記事の再訪問です。登録した読者は自社名で検索する機会も増えるため、指名検索の伸びが目安になります。
あわせて、主要キーワードの検索順位は別途記録しておいてください。順位・指名検索・問い合わせ数を並べて見ると、何が効いたのかを切り分けやすくなります。

よくある質問(FAQ)
ソース設定ツールに自社サイトが出てきません。何が原因ですか?
ドメイン単位・サブドメイン単位でないサイトは、そもそも対象外です。サブディレクトリで運営している場合や、モール型サービスの中にページを持っている場合が該当します。
独自ドメインで運営していても出てこない場合は、公開している記事の量や更新の継続性が影響している可能性があります。まずはインデックス状況を確認し、記事の公開を続けることが先決です。
ボタンを設置すると表示速度に影響しますか?
Googleが示しているスクリプトタグにはasync属性が付いており、ページの描画を止めない読み込み方になっています。ドキュメントどおりに設置する限り、大きな影響は考えにくいでしょう。
ただし外部スクリプトが1本増えることに変わりはありません。設置の前後でPageSpeed Insightsの数値を確認しておくと安心です。
読者に「登録してください」とお願いしても問題ありませんか?
公式ドキュメント自体が、読者を優先ソースの登録へ案内する方法として複数のやり方を紹介しています。案内すること自体が問題視されるものではありません。
ただし、登録を条件に特典を配るような誘導は、Googleの他の機能でも繰り返し問題になってきた形です。自然な案内にとどめておくのが無難だと考えます。
AIによる概要に引用されやすくなりますか?
公式ドキュメントが述べているのは、優先ソースに選んだ読者に対して「優先」バッジ付きで強調される可能性がある、という範囲です。誰の画面でも引用が増える、という説明ではありません。
AI回答に取り上げられやすくするための取り組みは、優先ソースとは別に必要です。内容の独自性や情報の整理のしかたといった、従来からの基本が引き続き効いてきます。
登録した読者は、あとから解除できますか?
できます。優先ソースはGoogle側のソース設定ツールで管理される読者自身の設定なので、同じ画面からいつでも外せます。
サイト運営者側から読者の設定を操作することはできません。そのぶん、押してもらう前の記事の中身が問われるということでもあります。
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まとめ|順位を争う前に、読者から指名してもらう道もある
優先ソースは、読者が「このサイトを優先して見たい」とGoogleに登録できる機能です。選ばれたサイトはトップニュースで「優先」バッジ付きに表示され、2026年5月からはAIによる概要とAIモードでも同じ扱いを受けるようになりました。
そして2026年8月20日、その登録を自社サイトの上で完結させられるボタンが公開されました。head内に1行、表示したい場所に1行を足すだけで設置できます。
ただし対象になるのはドメインとサブドメインだけで、ボタンの設置自体もGoogleは必須ではないと明記しています。順位を押し上げる仕組みでもありません。すでに自社を知っている読者との関係を太くする施策だと捉えるのが、実態に合った理解です。
今日できる一歩として、Googleのソース設定ツールに自社のドメインを入力し、候補に出てくるかどうかだけ確かめてみてください。出てくるなら設置を検討する価値があり、出てこないなら記事を出し続けることが先だと分かります。
そのうえで、指名検索と主要キーワードの順位を並べて記録しておくと、こうした施策が効いたのかどうかを後から振り返れるようになります。数字が残っていないと、良かったのか悪かったのかの判断ができません。
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