サーチコンソールを開いても、検索順位や表示回数の細かい表を毎日チェックするのは正直しんどい――そう感じている経営者・店舗オーナーの方は少なくありません。そんな方にこそ知っておいてほしいのが「分析情報(Insights)」レポートです。
これは、サイト全体で今どんなページが伸びていて、どんなページが落ち込んでいるかを、専門用語なしでざっくりつかめる新しいレポートです。この記事では、分析情報レポートで何が分かるのか、どこをどう見れば集客改善につながるのかを、実例を交えて解説します。
筆者は全日本SEO協会の認定SEOコンサルタントとして、Web制作とSEO支援に10年以上、延べ1,000件以上のサイトに関わってきました。「サーチコンソールは開いているけれど、何を見ればいいか分からない」というご相談を、日々の現場で数多くいただいています。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
Search Consoleの「分析情報」レポートとは?何ができるかをやさしく解説

難しい表よりまず「概要」をつかむためのレポート
サーチコンソールの「分析情報」レポートについて、Google公式のヘルプは「サイト全体の主要な指標とトラフィックの変化の簡単な概要を提供するものであり、重要なトレンドをモニターするのに役立ちます」と説明しています。細かい絞り込みをする前に、まず全体像をつかむための入り口という位置づけです。
難しいフィルタ操作をしなくても、カードを眺めるだけでサイトの調子が分かるのが最大の特徴です。SEOの知識がなくても迷わず使えるように作られています。
どこから開けるか
サーチコンソールの管理画面にログインし、左側のメニューから「分析情報」を選ぶと開けます。表示されるまでに数週間かけて順次展開している段階のため、メニューにまだ出ていないサイトもあります。
メニューに見当たらない場合は、いつも使っている「検索パフォーマンス」レポートで代わりに全体の傾向を確認しておき、時間をおいてから再度確認するとよいでしょう。
なお、分析情報レポートを見るには、サーチコンソールにそのサイトのオーナーまたはユーザーとして登録されている必要があります。複数のスタッフでサイトを管理している場合は、経営者ご自身も権限を持っておくと、月次の会議などでそのまま画面を見せながら説明できて便利です。
旧「Search Console Insights」ツールとの違い
実は以前にも「Search Console Insights」という似た名前のツールがありました。あちらは検索パフォーマンスとGoogleアナリティクスのデータを組み合わせた、サーチコンソールの外にある独立ツールでした。
これに対して今回の「分析情報」レポートは、サーチコンソールの中の1つのレポートとして組み込まれています。ログインし直したり別サイトへ移動したりする手間がなくなり、日常的にチェックしやすくなった点が実務上の大きな違いです。

分析情報レポートで見られる6つのカードを1つずつ確認する

クリックとインプレッションのカード
まず表示されるのが、検索結果での表示回数(インプレッション)とクリック数の推移です。期間は過去7日間・28日間・3か月間から選べるので、直近の動きと少し長い期間の動きの両方を見比べられます。
数字が急に落ちている場合は、季節要因なのか、検索順位の変動なのかを次のカードで確認していく、という使い方が基本になります。
たとえば飲食店であれば、連休前後にインプレッションが跳ねているだけということもよくあります。まずは折れ線の形を見て、一時的な波なのか、じわじわ続く傾向なのかを見分けることから始めてください。
「お客様のコンテンツ」カード|上位・上昇基調・下落基調
次に表示されるのが「お客様のコンテンツ」というカードです。サイト内のページが「上位のコンテンツ」「上昇基調のコンテンツ」「下落基調のコンテンツ」の3つに自動で分類されて並びます。
このカードだけでも、毎日全ページの表をにらむのと同じくらいの気づきが得られます。「伸びているページ」と「落ちているページ」が最初から仕分けされているためです。
サイトにつながる検索語句・上位の国・ブランド/非ブランド
ほかにも「お客様のサイトにつながる検索語句」でトラフィック元のクエリを、「上位の国」で地域別のアクセス状況を確認できます。店舗ビジネスであれば、想定外の地域からの検索が来ていないかを見るのにも使えます。
さらに「ブランド/非ブランドトラフィック」のカードでは、社名や店名で検索されている割合と、それ以外の一般的な語句で検索されている割合を分けて確認できます。画像検索・動画検索・Discover・Googleニュースなど、詳細なトラフィック元の内訳を見られるカードも用意されています。
経営者・店舗オーナーがまず見るべき3つのポイント

伸びているページの共通点を探す
「上昇基調のコンテンツ」に並んだページを開き、タイトルや内容に共通点がないかを確認してみてください。特定のテーマや、特定の書き方をした記事が伸びているなら、それは読者に求められている型だということです。
次に新しいページを作るときは、この型を意識して踏襲するだけで、当たりやすさがぐっと上がります。
たとえば「手順を番号つきで説明した記事」が複数伸びているなら、次の記事も同じように手順化して書く、といった具合です。感覚だけに頼らず、実際に伸びているページを起点に考えると再現性が高まります。
落ちているページを早く見つける
「下落基調のコンテンツ」は、放置すると集客への影響がじわじわ広がっていく部分です。分析情報レポートを見れば、月に一度の棚卸しを待たずに早い段階で気づけます。
内容が古くなっていないか、競合が新しい記事を出していないかを確認し、必要であればリライトの優先候補にしておきましょう。
指名検索(ブランド)の育ち具合を確認する
ブランド/非ブランドトラフィックのカードで、社名・店名での検索の割合が少しずつ増えているかを確認してみてください。指名検索が増えているサイトほど、地域や業界での認知が着実に育っている証拠になります。
ただし、このブランド判定はAIによる自動分類のため、完璧ではない点は割り引いて見る必要があります。詳しくは後ほどの注意点で触れます。
パフォーマンスレポート・GA4との違いと使い分け

パフォーマンスレポートとの違い
サーチコンソールには、以前から「検索パフォーマンス」という詳細な絞り込みができるレポートがあります。クエリ・ページ・国・デバイスなどを自由に組み合わせて分析できる、いわば「専門家向けの工具箱」です。
これに対して分析情報レポートは、あらかじめ意味のある切り口でまとめてくれる「要約版」です。まず分析情報で全体の調子をつかみ、気になる部分だけをパフォーマンスレポートで深掘りする、という順番がおすすめです。
GA4との役割分担
「アクセス解析ならGA4を見ればいいのでは」と思う方もいるかもしれません。GA4は自社サイトに来たあとの行動(どのページを見たか、問い合わせに至ったか)を知るためのツールです。
一方でサーチコンソールの分析情報は、Google検索結果の中でどう見られ、どうクリックされているかという「来る前」の動きを教えてくれます。どちらか一方ではなく、両方を役割分担で使うのが基本です。

分析情報が表示されない・情報が少ない場合の理由
分析情報レポートは、サブプロパティ(サイトの一部のディレクトリだけを登録したプロパティ)や、表示回数がもともと少ないサイトでは、十分な情報が表示されないことがあります。開設したばかりのサイトも同様です。
その場合は焦らず、検索パフォーマンスレポートで代わりに全体の傾向を確認しながら、アクセスが育ってくるのを待つとよいでしょう。
分析情報レポートを実際の集客改善に活かす手順

週1回、5分だけ見る運用にする
分析情報レポートは、毎日細かく見るものというより、週に1回さっと眺めるのに向いています。曜日を決めて「月曜の朝に5分だけ見る」といった小さな習慣にすると続けやすくなります。
忙しい経営者・店舗オーナーの方こそ、この軽さが続けるコツになります。
上昇基調のページの型を次の記事に使う
上昇基調に並んだページのタイトルの付け方、扱っているテーマ、読者の悩みへの答え方を書き出しておきましょう。次に新しい記事や商品ページを作るときの、いちばん再現性の高いお手本になります。
同じテーマの深掘り記事を追加するのも、伸びている流れをさらに伸ばす手として有効です。
下落基調のページをリライトの優先候補にする
下落基調のページは、情報が古くなっている、競合に新しい記事で追い越された、といった原因が多く見られます。公開から日が経っているページほど、まずリライト候補として洗い出しておくと効率的です。
数値や固有名詞を最新の状態に更新し、不足している見出しを補うだけでも、順位が持ち直すことは珍しくありません。
使うときの注意点|AIによる自動分類とプライバシー

ブランド/非ブランドの自動判定は完璧ではない
Google公式のヘルプでは、ブランドクエリの判定について「AIを活用しているため、誤って付けられる可能性があります」と明記されています。社名の一部が一般的な単語と重なる場合などは、判定がずれることがあります。
数字は参考値として受け止め、大きなトレンドをつかむための材料として使うのが安全です。
表示回数が少ないサイト・サブプロパティでは十分な情報が出ない
前述のとおり、サブプロパティや表示回数の少ないサイトでは一部の機能が使えません。特にブランド/非ブランドのフィルタは、サブプロパティでは利用できないと明記されています。
「うちのサイトでは出てこない項目がある」と感じたら、故障ではなくこの条件に当てはまっている可能性を疑ってみてください。
ソーシャルチャネル分析はまだ試験運用版であること
分析情報レポートの一部機能であるソーシャルチャネルの分析は、公式ヘルプ上でも試験運用版として案内されています。今後内容や表示が変わる可能性がある機能だと理解したうえで参考にしましょう。
レポート全体も現在進行形で改善が続いている機能なので、今後カードの種類や見え方が変わっていく可能性がある点も頭に入れておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
Q. 分析情報レポートがメニューに出てきません。故障でしょうか?
故障ではない可能性が高いです。数週間かけて段階的に展開されている機能のため、サイトによって表示されるタイミングにばらつきがあります。しばらく待ってから再度確認してみてください。
Q. 分析情報レポートだけ見ていれば、検索パフォーマンスレポートは不要ですか?
不要にはなりません。分析情報レポートは全体像をつかむための入り口で、特定のキーワードやページを細かく調べたいときは、従来の検索パフォーマンスレポートのほうが向いています。両方を目的に応じて使い分けてください。
Q. 「下落基調」に自社の主力ページが出てきました。すぐに何をすればいいですか?
まずは検索パフォーマンスレポートで、そのページの表示回数・クリック数・平均掲載順位の推移を確認しましょう。そのうえで、内容の古さや競合記事の状況を調べ、リライトの必要があるかを判断するのがおすすめです。
Q. スタッフに分析情報レポートだけ見せて、細かい操作はさせたくありません。可能ですか?
サーチコンソールの権限には「オーナー」「フル」「制限付き」などの段階があります。閲覧だけできれば十分という場合は、権限を絞ったユーザーとして追加すれば、細かい設定を変更されるリスクを抑えながら分析情報レポートを共有できます。
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まとめ|分析情報レポートは「毎週5分の健康診断」
サーチコンソールの「分析情報」レポートは、難しい絞り込みをしなくても、サイト全体の調子をカード形式でざっくり把握できる新しいレポートです。上位・上昇基調・下落基調に自動で仕分けされる「お客様のコンテンツ」カードが特に実用的で、伸びているページの型を次に活かし、落ちているページを早めに見つけることができます。
ただし、ブランド判定はAIによる自動分類のため完全ではなく、サブプロパティや表示回数の少ないサイトでは十分な情報が出ないこともあります。あくまで大きな流れをつかむための道具として使うのが安全です。
今日からできることとして、週に1回、曜日を決めて分析情報レポートを5分だけ眺める習慣を作ってみてください。それだけでも、サイトの調子の変化にずっと気づきやすくなります。
そのうえで、狙いたいキーワードの順位は自社で記録しておくと、分析情報レポートの「なんとなくの調子」を、具体的な数字で裏付けられます。AccessScopeは、サイトのURLを入力するだけで検索順位を自動で記録し続ける無料のツールです。
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