サーチコンソールの権限を制作会社やSEO業者に渡すときは、自社が「所有者」のまま、業者の担当者個人のGoogleアカウントに「フルユーザー」を付与するのが基本です。
所有者権限まで渡してしまうと、契約が終わったときに自社の意思だけでは外しにくくなる場合があります。この記事では、経営者や担当者の方が自分で権限を付与・確認・削除できるように、手順と注意点を整理します。
私は全日本SEO協会認定SEOコンサルタントとして、Web制作10年以上、延べ1,000件以上のサイトに関わってきました。契約が終わったあとも、権限の整理が後回しになっているサイトは少なくないと感じています。
読み終えるころには、誰にどの権限を渡すかを自分で決められ、契約終了時の外し方までわかる状態になります。専門用語はできるだけ避けて説明します。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
結論|渡す権限は「フルユーザー」が基本、所有者は自社に残す

業者に権限を渡すときの基本ルール3つ
先に結論を3つにまとめます。この3つを守るだけで、多くのトラブルは避けられます。
それぞれの理由は、このあとの見出しで順番に説明します。
| ルール | 内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 1. 所有者は自社に残す | 業者には所有者ではなく「フルユーザー」を付与する | ユーザーの追加・削除は所有者だけの操作なので、管理の主導権を自社に残せる |
| 2. 付与先は担当者個人のアカウント | 業者のGoogleアカウントのうち、担当者個人のものにメールアドレスで付与する | 担当者が替わったときに、誰に権限が残っているか追えるようにする |
| 3. 外す日を先に決める | 契約終了時に権限を削除することを、契約前に決めておく | 終わってから探すと、権限の整理が後回しになりやすい |
なぜ「所有者」は渡さないほうがよいのか
Googleのヘルプでは、所有者はユーザーの追加・削除やプロパティの設定など、サイトの管理そのものを動かせる権限として整理されています。一方、フルユーザーはデータの閲覧や多くの操作ができますが、ユーザー管理はできません。
業者が所有者になると、契約を終えたいときに自社の操作だけでは外せないことがあります。とくに所有権の確認をその業者が行っていた場合は、あとで説明するトークンの削除まで必要になることがあります。
業者の作業の大半は、フルユーザーで足ります。まずはフルユーザーで依頼し、足りない作業が出たら理由を聞いたうえで広げる、という順番が安全です。
所有者のアカウントは会社として管理する
自社側の所有者が、退職した担当者個人のアカウントだけだと、そのあと誰も管理できなくなります。所有者は複数人に設定できるので、代表者や複数の担当者を所有者にしておくと安心です。
サーチコンソールはGoogleアカウントで管理します。会社の共有ログイン情報を業者に伝えるのではなく、必ずユーザー追加の機能で権限を渡してください。
まず自社の「いまの状態」を棚卸しする
新しく権限を渡す前に、いまの「ユーザーと権限」の一覧を一度確認しておきます。過去に依頼した制作会社や、退職した担当者のアカウントが残っていることがあるためです。
不要なアカウントを整理してから新しい業者を追加すると、権限の全体像がすっきりします。
棚卸しの結果は、「誰・どの権限・いつ付与・何の目的」の4項目で、簡単な表にして残しておくと便利です。
サーチコンソールの権限4種類|できること・できないこと

4種類の権限を一覧で見る
Googleのヘルプでは、権限は「所有者」「フルユーザー」「制限付きユーザー」「協力者」に分けられています。業者に渡す権限を考えるうえでは、最初の3つを押さえれば十分です。
下の表は、できることの目安と、業者に渡すかどうかの考え方をまとめたものです。
| 権限 | できることの目安 | 業者に渡すか |
|---|---|---|
| 所有者(確認済み・委任) | ユーザーの追加・削除、プロパティの設定、Googleアナリティクスとの連携など管理全般 | 渡さない(自社で保持) |
| フルユーザー | ほとんどのデータの閲覧と、サイトマップの送信などの操作。ユーザー管理はできない | 基本はこれ |
| 制限付きユーザー | 閲覧が中心。設定の変更やサイトマップの送信などはできない | 報告を見るだけの人向け |
| 協力者 | 特定の用途向けの関係づけ。通常の運用では気にしなくてよい | 対象外 |
確認済み所有者と委任された所有者の違い
所有者には2種類あります。確認済み所有者は、HTMLファイルやDNSレコードなどでサイトの所有権の確認を済ませた人です。
委任された所有者は、確認済み所有者から所有者の権限を預けられた人です。
この違いは、契約終了時の外し方に関わります。確認済み所有者は所有権の確認用のトークンがサイト側に残る場合があり、これは後ほど詳しく説明します。
制限付きユーザーで十分な場面
たとえば、月次レポートの数字だけを見たい社内の上司や他部署の方には、制限付きユーザーが向いています。見るだけの人と、設定に触れる人を分けておくと、うっかり操作によるトラブルを防げます。
業者がサイトマップの送信などの作業をする場合は、制限付きでは足りないため、フルユーザーが必要です。
権限を付与する手順|自社のアカウントから5ステップ

ステップ1〜2|付与する前に確認すること
まず、業者の担当者が使っているGoogleアカウントのメールアドレスを聞きます。Gmailでも、会社のGoogle Workspaceのアドレスでも、Googleアカウントであれば付与できます。
次に、自社のどのプロパティに付与するかを確認します。サーチコンソールのプロパティには、サブドメインやhttp・httpsをまとめて扱う「ドメイン」と、URL単位の「URLプレフィックス」があります。
依頼する業務に必要なプロパティだけを選ぶと、渡す範囲が最小限になります。
ステップ3〜5|ユーザーを追加する画面操作
サーチコンソールを開き、対象のプロパティを選びます。左側のメニューの下のほうにある「設定」を開き、「ユーザーと権限」を選びます。
「ユーザーを追加」を押して、業者の担当者のメールアドレスを入力し、権限に「フル」を選んで追加します。画面の表記は更新されることがあるので、見当たらないときはヘルプの最新の案内で確認してください。
追加したあとは、一覧に表示されているかを必ず確認します。付与した日付と相手のメールアドレスは、自社の記録にも残しておきましょう。
付与したあとに確認すること
業者の担当者に、サーチコンソールの画面が見えているかを連絡してもらいます。見えていれば、付与は完了です。
もし見えない場合は、付与したメールアドレスと、業者が実際にログインしているアカウントが違っていることが多いです。アドレスの入力間違いや、複数アカウントの切り替えを確認しましょう。
業者に渡す前のチェックと、契約終了時の外し方

契約の前後に確認しておく4項目
権限は、渡すときよりも、契約が終わるときのほうが大切です。依頼する前に、次の4つを業者に確認しておきましょう。
| 確認項目 | 聞き方の例 |
|---|---|
| 付与先のアカウント | 担当者個人のGoogleアカウントでよいか。担当が替わったときの連絡方法は? |
| 必要な権限 | 作業にフルユーザーで足りるか。所有者が必要な場合、その理由と期間は? |
| 契約終了時の対応 | 終了日に権限を削除することに同意してもらえるか |
| サイト側に設置する物 | 所有権の確認のためにHTMLファイルやDNSレコードを追加する場合、その内容と外し方は? |
業者を選ぶ段階の確認ポイントは、別の記事で詳しく整理しています。

契約終了時の外し方|権限の削除手順
契約が終わったら、サーチコンソールの「設定」→「ユーザーと権限」を開きます。外したい業者の担当者の行にあるメニューから、「権限の削除」を選びます。
削除したあとは、一覧から消えていることを確認しましょう。あわせて、いつ・誰の権限を外したかを記録しておくと、あとで安心できます。
所有者だった場合は「所有権トークン」も確認する
業者が確認済み所有者だった場合は、ユーザーを削除してもサイト側に所有権の確認用のトークンが残っていることがあります。Googleのヘルプでは、これが「未使用の所有権トークン」として扱われています。
トークンが残っていると、削除された所有者が再び確認できる場合があります。契約が終わったら、不要なトークンも削除するのが確実です。
削除の方法は、確認の種類で異なります。HTMLファイルはサイトのサーバーから削除し、DNSレコードはドメインの管理会社の画面から削除します。
Googleアナリティクスやタグマネージャーで確認した場合は、そちらの権限を整理します。自社で触れない場合は、サイトの制作会社に依頼してください。
契約書にも一言入れておく
契約書や発注書には、「作業のために付与する権限の範囲」と「契約終了時に権限を削除すること」を書いておくと、あとから話がぶれません。細かい文言は、弁護士など専門家にご相談ください。
よくある失敗3つと対処
1つ目は、自社の所有者が、退職した担当者の個人アカウントだけになっているケースです。誰も管理できなくなる前に、代表者や現担当者を所有者として追加しておきましょう。
2つ目は、担当者が替わったのに、前の担当者の権限が残ったままのケースです。業者から担当替えの連絡を受けたら、その日のうちに入れ替えると外し忘れを防げます。
3つ目は、契約が終わったのに、権限もトークンも残っているケースです。契約終了日をカレンダーに入れて、権限の削除とトークンの確認をセットで行ってください。
サーチコンソール以外|GA4とビジネスプロフィールの権限

GA4は「閲覧者」「アナリスト」から始める
Googleアナリティクス4(GA4)の権限は、Googleのヘルプでは、閲覧者・アナリスト・マーケティング担当者・編集者・管理者の5段階に分けられています。管理者は、ユーザーの管理を含むすべての操作ができる権限です。
レポートを見るだけなら閲覧者、探索レポートを共有したいならアナリスト、設定の変更まで任せるなら編集者を目安にします。管理者は、業者には渡さないほうが安全です。
付与は、GA4の「管理」から、「アカウントのアクセス管理」または「プロパティのアクセス管理」で行います。上位のアカウントで付与した権限は、下位のプロパティにも引き継がれる点に注意してください。
Googleビジネスプロフィールは「管理者」を渡す
店舗の集客でお使いのGoogleビジネスプロフィールには、「オーナー」と「管理者」の役割があります。管理者は、ビジネス情報の編集やクチコミへの返信ができますが、ユーザーの追加・削除やプロフィールの削除はできません。
業者への依頼なら、管理者までに留めるのが基本です。オーナーは自社の代表者や責任者が持ち続けてください。
追加は、ビジネスプロフィールの「設定」にある「ユーザーとアクセス権」から行います。

WordPressやサーバーは、業者専用のアカウントを作る
サイトの管理画面やサーバーに入る必要がある場合は、自社のIDとパスワードを共有せず、業者専用のユーザーを作成する方法が安全です。こうしておけば、契約が終わったときも、その1件を削除するだけで済みます。
権限の強さは、必要な作業に合わせて決めましょう。記事の更新だけなら、管理者ではなく編集者などの弱い権限で足ります。
渡す権限の早見表
| サービス | 渡す権限の目安 | 自社で持つ権限 |
|---|---|---|
| サーチコンソール | フルユーザー(報告のみなら制限付き) | 所有者 |
| GA4 | 閲覧者・アナリスト(設定変更まで任せるなら編集者) | 管理者 |
| Googleビジネスプロフィール | 管理者 | オーナー |
| WordPress | 業者専用ユーザー(必要最小限の権限) | 管理者 |
よくある質問
業者から「所有者権限をください」と言われたら、渡すべきですか?
まず、何の作業に必要なのかを聞いてください。多くの作業はフルユーザーでできるため、理由の説明がないまま所有者を渡す必要はありません。
本当に必要な場合は、期間と範囲を決めて、契約書や発注書に残しておきましょう。
業者の担当者が替わったときは、どうすればよいですか?
新しい担当者のメールアドレスを聞いて、フルユーザーとして追加します。そのうえで、前の担当者の権限を「権限の削除」で外してください。
担当者が替わるたびに付け替える運用にしておけば、いま誰が見られるのかを、自社でいつでも確認できます。
自社で、いま誰に権限があるのかを確認する方法は?
サーチコンソールの「設定」→「ユーザーと権限」で、現在のユーザーと権限の一覧を確認できます。四半期に1回など、日を決めて見直すと、外し忘れを防げます。
定期的な点検の進め方は、別の記事の週次ルーティンにも組み込めます。
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まとめ|所有者は自社に残し、フルユーザーを渡して、外す日まで決める
サーチコンソールの権限を業者に渡すときは、所有者は自社に残し、業者にはフルユーザーを、担当者個人のGoogleアカウントあてに付与するのが基本です。ログイン情報を共有するのではなく、ユーザー追加の機能を使ってください。
契約が終わったときは、「権限の削除」で外し、業者が確認済み所有者だった場合は、サイト側に残る所有権トークンも確認します。GA4やビジネスプロフィールも、同じ考え方で、必要な範囲だけを渡します。
まずは今日、自社のサーチコンソールの「ユーザーと権限」を開いて、いま誰に何の権限があるのかを確認してみてください。
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