「うちは地元のお客様が中心なので、『下野市 リフォーム』のような言葉で上に出たいんです」というご相談を、地域密着で商売をされている方からよくいただきます。全国で戦うより現実的で、実際に成果も出しやすい狙い方です。
ところが、いざ取りかかると手が止まります。どの地域名を選べばいいのか、隣の市も狙うなら別ページを作るべきなのか、タイトルにどこまで地名を入れてよいのか。ここを勘で決めてしまうと、努力の割に順位が動かない、あるいはスパム扱いされる作りになってしまいます。
この記事では、Googleが公式に説明しているローカル検索の仕組みを土台に、狙う「地域名+サービス」の決め方から、ページへの書き込み方、やってはいけない作り方、効果の測り方までを順番に整理します。今日そのまま手を動かせる形でまとめました。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
「地域名+サービス」で検索する人は、もう選ぶ段階にいる

地域キーワードに取り組む前に、まず押さえておきたいことがあります。同じ「検索されている言葉」でも、地域名が入るかどうかで、その人が置かれている状況がまるで違うという点です。
ここを理解しておくと、後で出てくる「どの言葉を狙うか」の判断がぶれなくなります。順番に見ていきます。
地域名が入る検索は「近くで頼みたい人」の言葉
「リフォーム とは」と調べている人は、まだ情報を集めている段階です。一方で「宇都宮市 リフォーム 会社」と調べている人は、頼む相手を探しています。
地域名が入った検索は、検索回数こそ少なくても、問い合わせにつながる割合が高い言葉です。月に10回しか検索されない言葉でも、その10人が近所で業者を探している人なら、月に1万回検索される全国キーワードより価値があります。
中小企業が広告費をかけずに戦うなら、この差はそのまま勝ち筋になります。大手が細かい地名まで手を回しきれない領域だからです。
検索する人は、地域名を打たないこともある
ここで注意したいのが、地域名を入力しない検索です。スマートフォンで「リフォーム 会社」とだけ調べた場合でも、Googleは検索した人の現在地をもとに、近くのビジネスを表示します。
Googleビジネスプロフィールのヘルプでも、ユーザーが現在地を共有していない場合は、Googleが把握している現在地の情報に基づいて検索結果が表示されると説明されています。つまり「地域名を打たない検索」も、実質はローカル検索です。
この2種類の入口があると分かれば、対策の方向も見えてきます。サイトの中身を整えるだけでなく、地図に出る側の情報も同時に整える必要がある、ということです。
上位表示を狙う場所は2つある
「地域名+サービス」で検索すると、多くの場合、画面の上のほうに地図と3件ほどの店舗リストが出ます。その下に、通常のWebサイトの検索結果が続きます。
前者に出るための取り組みがいわゆるMEOで、主役はGoogleビジネスプロフィールです。後者に出るための取り組みが通常のSEOで、主役は自社サイトのページになります。
この2つは別々の仕組みで動いていますが、狙う言葉は同じです。片方だけ整えて「順位が上がらない」と感じているケースは、実務でよく見かけます。
ローカル検索の順位は「関連性・距離・知名度」で決まる

地図枠の順位について、Googleは決め方の骨格を公開しています。Googleビジネスプロフィールのヘルプでは、ローカル検索結果は主に「関連性」「距離」「知名度」の3つに基づいて表示され、これらを組み合わせて最適な結果が出ると説明されています(日本語ヘルプでは要約文が「人気度」、小見出しが「知名度」と表記が揺れていますが、指しているものは同じです)。
裏を返せば、この3つに効かない作業は、どれだけ時間をかけても順位には響きにくいということです。1つずつ意味を確認します。
関連性|検索語句と情報が合っている度合い
関連性とは、検索された語句と、そのビジネスの情報が合致する度合いを指します。ヘルプでは、ビジネスについてより的確な情報を提供することで関連性を高められる、と明記されています。
具体的には、業種の設定、住所、営業時間、提供しているサービスの記載などです。「リフォーム」で出たいのに業種が「建設会社」のままだった、というズレは実際によくあります。
距離|検索した人からお店までの近さ
距離は、検索している人から各ビジネス拠点までの近さです。これは事業者側で操作できない要素で、拠点の位置がそのまま効いてきます。
拠点から遠い地域名で地図枠の上位に出るのは、原理的に難しいと考えてください。隣の市を狙いたいなら、地図枠ではなく通常の検索結果側で勝負するのが現実的な組み立てです。
知名度|どれだけ広く知られているか
知名度は、そのビジネスがどれだけ広く知られているかを指します。ヘルプでは、この要素はビジネスにリンクしているウェブサイトの数やレビューの数などの情報に基づいて決定される、と説明されています。
さらに、クチコミ数が多く評価の高いビジネスはランキングが高くなる、とも書かれています(英語版では「ローカル検索の順位に役立つことがある」という控えめな表現です)。日々のクチコミ集めが順位に効くのは、この項目を通じてです。
自分で動かせるのは「関連性」と「知名度」
3つのうち距離は動かせません。事務所を移転するわけにはいかないからです。
ですから、地域キーワードの取り組みは実質的に「関連性を上げる」と「知名度を上げる」の2本立てになります。この記事の後半で扱うページの書き方は関連性、クチコミや被リンクは知名度に効く作業だと整理しておくと、優先順位を決めやすくなります。
なお、Googleは掲載順位を上げるためのリクエストや金銭の受け取りには一切応じていないとも明記しています。「Googleに話を通せる」と持ちかけてくる業者がいたら、その時点で疑ってよい話です。
狙う「地域名+サービス」を決める4つのステップ

ここからは実作業です。地域キーワードは思いつきで決めると、必ずどこかで手が止まります。
紙とペン、あるいは表計算ソフトを開いて、次の4つを順番に埋めてください。30分あれば形になります。
ステップ1|お客様が実際に来ている範囲を書き出す
最初にやるのは、キーワード探しではありません。過去1年の見積書や請求書を見て、お客様の住所がどこに集まっているかを書き出す作業です。
これをやると、思っていた商圏と実際の商圏がずれていることに気づきます。狙いたい地域ではなく、すでに選ばれている地域から始めるほうが、成果が出るまでの時間は短くなります。
件数の多い順に並べて、上位3〜5エリアに印を付けてください。ここが最初の主戦場になります。
ステップ2|地域名を3つの階層に分けて並べる
次に、地域名を粒度で分けます。県名(栃木県)、市区町村名(下野市)、駅名や地区名(自治医大駅、石橋)の3階層です。
中小企業がまず狙うべきは、真ん中の市区町村名です。県名は競合が強すぎ、駅名は検索数が少なすぎることが多いためです。
ただし、駅前や商店街に店舗があるなら、駅名・地区名は非常に効きます。実際に人が口にする呼び方で並べておくのがコツです。
ステップ3|サービス名は「お客様の言い方」に合わせる
ここが一番間違えやすいところです。社内で使っている正式名称と、お客様が検索窓に打ち込む言葉は、しばしば違います。
「外壁改修工事」ではなく「外壁塗装」、「事業承継支援」ではなく「会社 引き継ぎ 相談」と打たれているかもしれません。問い合わせの電話やメールで実際に使われた言い回しを、そのまま拾ってください。
拾った言葉と、ステップ2で並べた地域名を掛け合わせます。これで「下野市 外壁塗装」「石橋 外壁塗装 見積もり」といった候補が10〜30個できあがります。
ステップ4|検索されているかを無料で確かめる
最後に、その言葉が実際に検索されているかを確認します。Google検索の窓に候補を打ち込んで、下に出る候補(サジェスト)と、検索結果の一番下に出る「関連する検索キーワード」を見るだけでも、かなり分かります。
候補として自動で出てくる組み合わせは、実際に打たれている言葉です。逆に、何を打っても候補が出てこない組み合わせは、需要が薄いと判断して後回しにします。
もう少し数字で押さえたい場合は、Googleキーワードプランナーで大まかな検索ボリュームを確認する方法もあります。キーワードの選び方そのものは、次の記事で手順を通して解説しています。

ここまでで、狙う言葉のリストができました。次は、それをページのどこに書くかです。
地域キーワードをページに書き込む5つの場所

地域名は、書けば書くほど効くものではありません。書く場所と、その周りに置く中身で効き方が変わります。
優先度の高い順に5か所を挙げます。上から順に手を入れてください。
①タイトルタグ|地域名・サービス名・特徴の順で組む
最も影響が大きいのがタイトルタグです。検索結果に見出しとして表示される部分で、ここに狙う言葉が入っていないと勝負になりません。
組み方はシンプルで、「地域名+サービス名+選ばれる理由」の順が基本です。たとえば「下野市の外壁塗装なら|最短3日・自社職人が仕上げます」のような形になります。
ただし、地域名を何個も並べるのは逆効果です。1ページ1エリアを原則として、詰め込みは避けてください。

②見出しと本文|その地域ならではの中身を入れる
本文には、地域名を機械的に散らすのではなく、その地域でしか書けないことを入れます。ここが後で出てくる「誘導ページ」との決定的な分かれ目になります。
たとえば外壁塗装なら、その地域の海風や積雪による傷み方の違い、地域で多い住宅の築年数や工法。士業なら、その市の窓口の場所や手続きの流れです。
「この地域名を別の市名に置き換えても、そのまま通用する文章」しか書けていないなら、それは中身が足りていない合図です。逆にここが書けていれば、多少ページ数が少なくても勝てます。
③会社情報|住所・電話・営業時間をサイト側にも置く
ビジネスプロフィールに登録してあるから大丈夫、と考えて、サイト側の記載が古いままになっているケースは多いです。会社名・住所・電話番号は、サイトとプロフィールで表記をそろえてください。
「1-2-3」と「一丁目2番3号」のような表記ゆれも、できる範囲で統一しておきます。人間には同じでも、機械にとっては別の文字列だからです。
あわせて、営業時間と定休日もそろえておきます。この基本情報が正確であることは、Googleが挙げている関連性そのものに効きます。
④実績・お客様の声|地域名は自然に入ってくる
施工事例や導入事例のページを地域ごとに整理すると、地域名は無理なく本文に入ります。「下野市I様邸の外壁塗装」といった見出しは、地名を詰め込んだ文章より自然で、読む側にも役立ちます。
写真と施工前後の状況、かかった期間と費用の目安を添えれば、そのページ自体が問い合わせの材料になります。自社にしか書けない一次情報という点でも価値があります。
なお、お客様の氏名や住所を載せる場合は、必ず事前に許可を取ってください。イニシャルと市区町村名までにとどめるのが一般的です。
⑤画像のalt|無理に地域名を詰め込まない
画像の代替テキスト(alt)は、その画像が何を写しているかを説明する場所です。地域名を入れる目的で使う場所ではありません。
施工事例の写真なら「下野市の住宅の外壁を塗装している様子」のように、説明として自然に地名が入る形が理想です。説明になっていない地名の羅列は、かえって品質を下げます。
やってはいけない|地域名だけ変えたページの量産

地域キーワードの相談で、いちばん多い失敗がこれです。「周辺50市町村ぶんのページを作りましょう」と提案され、地名だけ差し替えた同じ文章のページが並んでいる、という状態です。
気持ちは分かります。ページを増やせば入口が増えるように見えるからです。ですが、この作り方はGoogleが名指しで問題視しています。
「誘導ページの不正使用」はスパムポリシー違反にあたる
Googleのウェブ検索のスパムに関するポリシーには、「誘導ページの不正使用」という項目があります。検索エンジンのためだけに作られ、利用者を最終的に同じ場所へ送るだけのページを指します。
Googleは例として、特定の地域や都市を対象としたドメイン名やページを複数持ち、それらから1つのページへ利用者を誘導するものを挙げています。地域名だけを差し替えたテンプレートの量産は、まさにこの形です。
Googleは2015年3月にも、検索エンジンのためだけに作られた誘導ページに対してランキング調整を実施すると、当時のウェブマスター向け公式ブログ(現在の検索セントラル ブログ)で予告しています。新しい話ではなく、10年以上一貫して示されている方針です。
100ページ作っても評価されない理由
ポリシー違反というだけでなく、実務上も効きにくい作りです。中身がほぼ同じページが並ぶと、Googleはそのうち1つだけを選んで検索結果に出し、残りはインデックスから外していきます。
100ページ作っても、評価が100倍になるどころか、サイト全体の質が薄まって足を引っ張ることのほうが多いのが実情です。更新の手間も100倍かかります。
そして、実際にそのページを開いた人が「自分の地域の話が何も書かれていない」と感じれば、そのまま閉じられます。順位以前の問題として、問い合わせにつながりません。
複数エリアを狙うときの安全な作り方
では、複数の地域を狙いたい場合はどうするか。答えは単純で、そのページにしか書けない中身がある地域だけ、ページを作るという線引きです。
目安として、そのエリアの施工事例が2件以上ある、あるいはそのエリア特有の事情を3つ以上書ける。この条件を満たすなら独立ページを作る価値があります。
満たさない地域は、対応エリア一覧のページに地名を列挙するだけにとどめます。まずは3〜5ページを本気で作り込み、事例が増えたら1ページずつ増やす。この進め方なら、ポリシー違反の心配もありません。
迷ったときは、「このページは、検索エンジンのためではなく、その地域のお客様のために作ったと胸を張って言えるか」を基準にしてください。Googleが繰り返し示している判断軸も、結局はここに行き着きます。
効果の測り方|順位は「検索した場所」で変わる

手を入れたら、効果を測ります。ただし地域キーワードには、通常のSEOにはない測りにくさがあります。
ここを知らないまま数字を見ると、良くなっているのに「効果がない」と誤解してしまいます。
地域キーワードの順位は、検索した場所で変わる
ローカル検索では距離が順位要素に含まれるため、同じ言葉で検索しても、検索した人がいる場所によって結果が変わります。事務所で見た順位と、お客様が自宅で見る順位は同じとは限りません。
ですから、自分のスマートフォンで検索して一喜一憂するのは避けてください。ログイン状態や過去の閲覧履歴の影響も受けます。
現実的なのは、条件をそろえて毎日同じ形で記録し、その推移を見る方法です。1回の順位ではなく、線として上がっているかを見ます。

ビジネスプロフィールの「パフォーマンス」で見る
地図枠側の成果は、Googleビジネスプロフィールのパフォーマンス(旧インサイト)で確認します。表示回数、サイトへのアクセス、ルート検索、電話の件数などが分かります。
あわせて、実際にどんな言葉で見つけられているかを示す検索語句の一覧も見られます。ここに、自分が想定していなかった地域名やサービス名が並んでいることがよくあります。
その言葉こそ、次に作るページのヒントです。想像で決めた候補より、実際に打たれている言葉のほうが確実です。
AI検索でも地域の質問は増えている
近ごろは、検索結果の上部にAIによる要約が出たり、生成AIに「この近くで外壁塗装を頼めるところは?」と聞いたりする人も増えています。この場合も、参照されているのは通常の検索インデックスやビジネスプロフィールの情報です。
Googleは2026年5月に公開した生成AI向けの案内で、AIのために特別なマークアップや文章の書き直しは必要ないと説明しています。つまり、この記事で挙げた基本の整え方がそのままAI検索対策にもなります。
なお、サーチコンソールには2026年6月に生成AIの表示状況を見るレポートが追加されましたが、分かるのは表示回数が中心で、段階的な提供が続いています。過度に期待せず、まずは通常の順位とプロフィールの数字を追ってください。
3か月は同じ指標を追いかける
地域キーワードは、全国キーワードより早く動くことが多いものの、それでも数週間から数か月はかかります。1週間で判断しないでください。
順位、プロフィールの表示回数、問い合わせ件数。この3つを月に1回、同じシートに並べていけば、何が効いたのかが後から読み取れます。
反対に、記録がないまま施策だけ増やすと、うまくいっても再現できません。測る仕組みを先に作るほうが、結果的に近道です。
よくある質問(FAQ)
店舗がない事業でも「地域名+サービス」は狙えますか?
狙えます。ただし、お客様が来訪しない業種の場合、Googleビジネスプロフィールはサービス提供地域を設定する形になり、地図枠での見え方は店舗型と変わります。
その場合は、通常の検索結果側で勝負する比重が高くなります。自社サイトに、対応エリアと実績を具体的に書いたページを用意するところから始めてください。
隣の市も狙いたいのですが、拠点から遠いと無理でしょうか?
地図枠での上位表示は難しくなります。距離はGoogleが挙げている順位要素の1つで、事業者側では動かせないためです。
一方、通常の検索結果には距離の制約が地図枠ほど強く効きません。その市での施工事例や、その地域ならではの情報を書いたページを用意すれば、十分に狙えます。
対応エリアのページは、何ページくらい作ればよいですか?
数を先に決めないでください。「そのエリア固有の中身が書けるか」で決めるのが安全です。
目安としては、実際に案件が集中している3〜5エリアから始め、事例が増えるたびに1ページずつ足していく形です。中身のないページを先に量産すると、誘導ページと判断される可能性があります。
順位が上がったのに、問い合わせが増えないのはなぜですか?
順位と問い合わせの間には、クリックされるか、ページで納得してもらえるか、という2つの段階があります。どちらかが弱いと、順位だけ上がって成果が止まります。
まずはタイトルと説明文が、その地域の人に向けた言葉になっているかを見直してください。次に、料金の目安・対応エリア・連絡先が、迷わず見つかる場所にあるかを確認します。
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まとめ|地域名は「増やす」より「深める」
ローカル検索の順位は、関連性・距離・知名度の3つで決まるとGoogleは説明しています。距離は動かせないので、事業者にできるのは、情報を正確に整える(関連性)と、知られる状態をつくる(知名度)の2つです。
狙う言葉は、すでにお客様が来ている地域から選びます。市区町村名を軸に、お客様が実際に使う言い方でサービス名を掛け合わせれば、候補は自然に出てきます。
そして、いちばん大事なのは量産しないことです。地名だけ差し替えたページは誘導ページとしてスパムポリシーに触れますし、実務上も評価されません。その地域のお客様に向けて書けることがあるページだけを、少数精鋭で育ててください。
今日できることを1つ挙げるなら、過去1年の請求書を開いて、お客様の住所を件数の多い順に並べてみてください。狙うべき地域名は、想像ではなくそこに書いてあります。
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