Google検索の画面に「AIモード」というタブが出るようになってから、自社サイトへのアクセスはどうなるのか。中小企業の経営者やWeb担当の方から、この不安をいただくことが増えました。
AIモードは、質問を入れるとAIが会話形式で答え、その根拠になったページへのリンクを並べる機能です。日本語での提供が始まってちょうど1年が経ち、いまでは月間10億人を超える規模で使われています。
この記事では、AIモードが何をしているのか、自社サイトが引用されるには何が必要なのか、そしてサーチコンソールで数字がどう見えるのかを、Googleの公式ドキュメントに沿って整理します。専用のファイルを作る必要があるのかという疑問にも答えます。
結論を先にお伝えすると、やることの大半は今までのSEOと同じです。ただし「数字の読み方」だけは変わりました。ここを知らないまま数字を見ると、判断を間違えます。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
AIモードとは?Google検索の中の「もう一つの入口」

検索結果の上に並ぶタブの一つとして用意されている
AIモードは、Google検索の結果画面で「すべて」「画像」「動画」などと並ぶタブの一つとして用意されています。パソコンのブラウザでも、スマートフォンのGoogleアプリでも切り替えられます。
切り替えると、検索窓は「調べる場所」から「相談する場所」に変わります。1行の言葉ではなく、状況を説明した長い文章でも受け付けてくれるのが特徴です。
Google検索セントラルの説明では、AIモードは「さらに深く調べたいとき、筋道を立てて考える必要があるとき、複雑な比較をしたいとき」に役立つ機能だと位置づけられています。これまで何回も検索し直していたことを、1回のやりとりで済ませられる場所だと考えるとつかみやすいはずです。
「AIによる概要」との違いは会話が続くかどうか
混同されやすいのが「AIによる概要(AI Overviews)」です。こちらは通常の検索結果の一番上に表示される要約で、タブを切り替える必要はありません。
AIによる概要は、Googleのシステムが「通常の検索結果に付け加える価値がある」と判断したときだけ表示されます。つまり、出ない検索も多いということです。
対してAIモードは、利用者が自分でタブを選んで入る場所です。そして答えを読んだあとに、追加の質問を重ねて深掘りできます。この「会話が続く」点が最大の違いです。
公式ドキュメントは、AIモードとAIによる概要は異なるモデルや手法を使う場合があるため、返ってくる答えも表示されるリンクの組み合わせも変わる、と説明しています。同じ質問でも引用されるサイトが違うのは、仕様どおりの動きです。

日本語での提供は2025年9月に始まった
AIモードは2025年に英語圏で先に公開され、Googleは同年9月に、日本語を含む5言語での提供を順次開始すると発表しました。日本のユーザーが触れられるようになってから、ちょうど1年が経ったところです。
提供は段階的に広がったため、「自分のスマートフォンにはまだ出ていない」という時期がありました。いまはパソコンのブラウザ、スマートフォンのブラウザ、AndroidとiOSのGoogleアプリのいずれからも使えます。
筆者がご相談を受ける中でも、この1年で「AIモードで調べたら自社が出てこなかった」という具体的な相談が増えました。話題としてではなく、実際に使われる機能になったということです。
2026年に入って利用規模は月間10億人を超えた
Googleは2026年5月のGoogle I/Oで、AIモードの利用者が月間10億人を超えたことと、AIモードでの検索数が公開以降、四半期ごとに2倍以上のペースで増えていることを公表しました。
同時に、AIモードの既定モデルをGemini 3.5 Flashに切り替えたことも発表されています。2026年に入ってから既定のモデルは何度も入れ替わっており、答えの精度や文章の癖は今後も変わり続けると考えておくのが現実的です。
ここで大事なのは、モデルの名前を追いかけることではありません。モデルが変わっても、参照されるのは「Googleがインデックスしているウェブページ」であるという土台は変わっていないという点です。
AIモードはどうやって答えを作っているのか

質問を小さな質問に分けて同時に検索している
AIモードは、受け取った質問をそのまま1回検索しているわけではありません。Google検索セントラルは、AIモードとAIによる概要が「クエリ ファンアウト」という手法を使う場合があると説明しています。
クエリ ファンアウトとは、質問をいくつかの小さな話題に分け、それぞれについて同時に検索をかける仕組みです。集まった結果を組み合わせて、一つの答えを組み立てます。
たとえば「予算200万円で狭い庭を駐車場にできるか」という質問は、費用の相場、必要な広さ、工事の種類、依頼先の探し方といった小さな質問に分解されます。つまり、答え全体ではなく「分解されたどれか一つ」に強いページが引用されるということです。
だから通常の検索より多くのサイトが登場する
公式ドキュメントは、答えを生成している間にモデルがより多くの参考ページを見つけるため、通常のウェブ検索よりも「幅広く多様な、役に立つリンクを表示できる」と説明しています。
これは中小企業にとって悪い話ではありません。10件の青いリンクを取り合う競争では上位に入れなかったページにも、登場する余地があるという意味になります。
実際にGoogleは、AIによる概要によって、複雑な質問に対してより多様なサイトが訪問されるようになったとも説明しています。ニッチな話題を丁寧に書いているページの方が、かえって拾われやすい場面もあります。
追加の質問は「新しい検索」として扱われる
AIモードの数字を読むうえで、これがいちばん重要な仕様です。サーチコンソール ヘルプは、AIモードの中で利用者が追加の質問をした場合、それは実質的に新しい検索を行ったことになる、と明記しています。
そして、新しい回答に含まれる表示回数・掲載順位・クリックのデータは、すべてその新しい検索から来たものとして数えられます。1回の会話の中で3回質問が続けば、3回分の検索として記録される形です。
この仕組みを知らないと、表示回数だけが増えてクリックが伴わないときに「表示されているのにクリックされない、内容が悪いのだろうか」と誤解しがちです。深掘りの途中で名前が出ただけの回もカウントされている、という前提で見る必要があります。
検索する人の「目的」は今までと変わっていない
仕組みは新しくても、質問の裏にある目的は昔と同じです。知りたいのか、やり方を探しているのか、特定の会社を指名しているのか、近くの店に行きたいのか。
クエリ ファンアウトで分解される小さな質問も、結局はこの目的の組み合わせでできています。自社のページがどの目的に答えるものなのかを決めておくことが、そのまま準備になります。
自社サイトがAIモードに引用される条件

Googleは「特別な最適化は必要ない」と明言している
ここは誤解が多いところなので、公式の言い方をそのまま紹介します。Google検索セントラルの「AI機能とあなたのウェブサイト」には、AIによる概要やAIモードに表示されるための追加の要件はなく、そのための特別な最適化も必要ないと書かれています。
そのうえで、SEOの基本を見直すことは常に有益だと続けています。AIモード向けの新しい施策を買い足す前に、既存のSEOが行き届いているかを確認するのが正しい順番です。
技術的な条件は「インデックス済み」と「スニペット表示が可能」の2つだけ
公式が挙げている技術要件は明確です。AIによる概要やAIモードで参考リンクとして表示される資格を得るには、ページがインデックスされていて、かつスニペット付きでGoogle検索に表示できる状態である必要があります。
これ以外の追加の技術要件はない、とも明記されています。逆に言えば、インデックスされていないページや、スニペットを出さない設定にしているページは候補から外れます。
まず確認すべきは、サーチコンソールのURL検査で主要なページが「インデックス登録済み」になっているかどうかです。ここが抜けていると、AI検索対策の前段でつまずいていることになります。
条件を満たしても表示は保証されない
公式は、要件や推奨事項をすべて満たしていても、Googleがそのコンテンツをクロール・インデックス登録・表示するとは限らないと書き添えています。インデックス登録と表示は保証されません。
ですから「AIモードに必ず載せます」と約束する提案には注意が必要です。Googleの内部の仕組みに触れられる第三者のツールやサービスは存在しません。
専用のファイルやマークアップは作らなくていい
AI検索のために新しい機械可読ファイルやAI向けのテキストファイル、専用のマークアップを作る必要はありません。追加すべき特別なschema.orgの構造化データもない、と公式に書かれています。
llms.txtのようなファイルの話題をよく見かけますが、Google検索の表示や順位のために用意するものではないという整理です。構造化データ自体は、リッチリザルトのために引き続き有用なので、すでに入れているものを外す必要はありません。

公式が挙げているSEOの基本7項目
では何をすればいいのか。公式ドキュメントは、AI機能向けにも引き続き価値があるSEOの基本として、次の7つを例示しています。
- robots.txtやCDN・サーバー側でクロールを止めていないこと
- サイト内の内部リンクで、コンテンツを見つけやすくしておくこと
- 利用者にとって快適なページ体験を提供すること
- 重要な内容が、画像の中ではなくテキストとして読める状態にあること
- 本文を、質の高い画像や動画で補強すること
- 構造化データの内容が、ページに見えている文章と一致していること
- Merchant Centerやビジネスプロフィールの情報が最新であること
特別な話が一つもないことに気づかれたと思います。テキストで読める状態、内部リンク、画像と動画、そして店舗情報の整備。どれも以前から言われてきたことです。
サーチコンソールでAIモードの数字はどう見えるか

AI機能の数字は通常の検索パフォーマンスに混ざっている
これは経営者の方に必ずお伝えしている点です。公式ドキュメントは、AI機能に表示されたサイトも検索結果ページのほかの部分と同じように、サーチコンソールの全体の検索トラフィックに含まれると説明しています。
具体的には、検索パフォーマンス レポートの検索タイプ「ウェブ」の中に入ります。つまり、AIモードからのクリックだけを取り出して数えることは、標準のレポートではできません。
「AIモードの影響を数字で出してほしい」という依頼をいただくことがありますが、この仕様上、切り分けて出せるものではありません。そこを断らずに数字を作る業者には注意してください。
クリック・表示回数・掲載順位の数え方
サーチコンソール ヘルプは、AIモードでの数え方を3点に整理しています。まずクリックは、AIモードの中から外部のページへのリンクをクリックした場合に1クリックとして数えられます。
表示回数は通常のルールがそのまま適用されます。掲載順位も検索結果ページと同じ考え方で計算され、AIモードの中のカルーセルや画像のまとまりは、それぞれの要素の標準ルールで扱われます。
なお、AIによる概要の場合は、その概要全体が1つの順位を占め、中のすべてのリンクに同じ順位が割り当てられます。AIモードとは数え方が少し違うので、混ぜて考えないほうが安全です。
Search Labsの試験機能は数字に入らない
もう一つ押さえておきたい注記があります。サーチコンソールは、Search Labsの試験機能のデータを含みません。試験段階の機能は開発中のため、対象外という扱いです。
新しい機能の話題が出たとき、それが正式提供なのか試験なのかで数字への現れ方が変わります。ニュースを見て慌てて数字を探しても出てこないことがあるのは、この違いによる場合があります。
生成AIパフォーマンス レポートは「表示回数だけ」
2026年6月に、サーチコンソールへ生成AI機能専用のレポートが追加されました。2026年8月31日時点で、全世界のすべてのサイトへの展開が完了しています。
ただし、このレポートで見られるのは表示回数だけです。内訳はページ・国・日付・デバイスの4つで、クリック数・クリック率・検索語句・掲載順位はありません。
さらに、この数字はAIによる概要とAIモードを合わせたものです。AIモードだけを切り出して見る方法は、2026年9月の時点では用意されていません。
ですから「AI検索での見え方の傾向をつかむ」道具として使い、成果そのものは通常のレポートと問い合わせ数で見る、という役割分担になります。

AIモード時代に中小企業がやるべき5つのこと

1. クロールを止めていないかを先に確認する
最初にやるのは、新しい施策ではなく確認作業です。robots.txtでGooglebotを止めていないか、レンタルサーバーやCDNのセキュリティ設定でブロックしていないかを見ます。
海外からのアクセスを一律で拒否する設定を入れている場合、Googleのクローラーが届かなくなることがあります。AI検索に出ない原因の多くは、難しい話ではなく「そもそも読まれていない」ことです。
2. 自社にしか書けない一次情報を増やす
クエリ ファンアウトで分解された小さな質問に答えられるのは、具体的な中身があるページです。価格の考え方、実際の工期、失敗しやすい条件、断った案件の理由。
どこにでも書いてある一般論は、AIがすでに他のページから集められます。現場を持っている会社が強いのは、他社が書き写せない情報を持っている点です。
筆者が支援先で最初にお願いするのも、新しいキーワードを探すことではなく、直近の案件を1件、数字と経緯つきで書き起こすことです。ここが一次情報の入口になります。
3. 会社名で調べられたときの受け皿を整える
AIモードで候補として名前が挙がったあと、多くの人は会社名で検索し直します。そのときに出てくるのが、会社概要と実績のページです。
所在地、電話番号、代表者名、許可や資格の番号、対応エリア。この基本情報が揃っていない会社は、候補に挙がっても最後で外されます。
4. 店舗や事業所の情報はGoogle側と揃える
公式のSEO基本項目にも、ビジネスプロフィールの情報を最新にすることが挙げられています。地域の店やサービス業なら、ここが自社サイト以上に見られます。
営業時間、定休日、電話番号、サービス提供地域。サイトとビジネスプロフィールで食い違っていると、どちらが正しいのか判断されないまま候補から落ちます。
5. 順位とクリックを毎日記録して原因を切り分ける
AIモードが増えたことで、順位が変わっていないのにクリックが減る、という現象が起きるようになりました。これを見分けるには、両方を並べて記録しておく必要があります。
順位が落ちたのなら記事や競合の問題、順位は同じでクリックだけ減ったのなら検索画面の変化。この切り分けができるかどうかで、次に手を入れる場所が変わります。
記録は手作業だと続きません。毎日自動で残る形にしておくと、Googleの更新があった月との照合もできるようになります。

AIモードに出したくない場合の考え方

robots.txtでの制御は「検索ごと外れる」ことを意味する
「AIに使われるのは嫌だ」という相談もいただきます。ここは仕組みを正しく知っておかないと、取り返しのつかない設定をしてしまいます。
公式は、AIは検索に組み込まれ、検索の動作に不可欠なものになっているため、サイト運営者の制御手段はGooglebotに対するrobots.txtの指示だと説明しています。AIモードだけを拒否する設定は用意されておらず、止めれば通常の検索結果からも外れます。
見せる量を絞る方法はある
全部を諦める必要はありません。ページから検索に表示される情報の量を制限したい場合は、nosnippet、data-nosnippet、max-snippet、あるいはnoindexという手段があると公式に書かれています。
data-nosnippetは、ページの一部だけを引用の対象から外す指定です。料金表の一部や、会員向けの記述だけを見せたくないときに使えます。
ただし、スニペットを出さない設定にするとAI機能の参考リンクの資格も失います。集客目的のサイトでは、基本的に使わない設定だと考えてください。
生成AI機能だけを外す設定も用意されている
2026年8月末には、サーチコンソール側で生成AI機能への表示を含めるかどうかを切り替える設定も全世界に展開されました。初期設定は「含める」で、親プロパティがある場合は親の設定を引き継ぐのが初期値です。
除外すると、生成AI機能からの表示回数もアクセスも受け取らないことになります。判断材料がないまま触る設定ではないので、意味を理解したうえで扱ってください。

学習への利用を断る設定は役割が別
Google-Extendedは、Googleの一部の別のサービスでの学習や参照を制限するための仕組みです。Google検索のAI機能に出るかどうかとは役割が分かれています。
「AIに使われたくない」という一言の中に、検索に出たくないのか、学習に使われたくないのかという別の話が混ざっています。どちらの話をしているのかを分けてから設定を決めてください。
よくある質問(FAQ)
自社サイトがAIモードに出ているか確認できますか?
「どの検索語句でAIモードに出たか」を一覧で見る方法は、現時点では用意されていません。サーチコンソールの標準レポートではAI機能の数字が通常の検索に混ざるためです。
できるのは、生成AIパフォーマンス レポートで表示回数の傾向を見ること、そして自社の主要な質問を実際にAIモードで入れて、答えと参考リンクを目で確かめることです。手作業ですが、これが一番確実です。
AIモードが増えると、アクセスは減るのでしょうか?
調べただけで満足される検索が増えるのは事実です。一方でGoogleは、AIによる概要が表示された検索結果からのクリックは質が高く、サイトに長く滞在する傾向があるとも説明しています。
つまり、数の減少と質の変化が同時に起きうるということです。クリック数だけで判断せず、問い合わせ件数や資料請求までつないで見ることをおすすめします。
AIモード向けに記事を短く区切ったほうがいいですか?
AI向けに文章を細かく分割したり、書き直したりする必要はないと公式に書かれています。読者にとって読みやすい段落と見出しの構造であれば十分です。
やってはいけないのは、検索語句の言い換えごとにページを量産することです。順位や生成AIの回答を操作する目的であれば、スパムポリシー違反にあたる可能性があります。
AIで下書きした記事でも引用されますか?
Googleは、作り方ではなく中身の品質で評価すると説明しています。AIを使ったかどうかそのものが問題ではありません。
問題になるのは、順位の操作を主な目的にした量産です。自社の経験や数字を足して、事実確認をしたうえで公開するなら、下書きに使うことは差し支えありません。
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まとめ|AIモードは「検索の続き」であって、別の世界ではない
AIモードは、質問を小さな質問に分けて同時に検索し、集めた結果を会話の形で返す機能です。参照されるのは、これまでと同じくGoogleがインデックスしているウェブページです。
引用される条件は、インデックス済みでスニペット表示が可能であること。それ以上の追加要件はなく、専用ファイルも特別な構造化データも不要だと公式に明記されています。
変わったのは数字の読み方です。AI機能の数字は通常の検索パフォーマンスに混ざり、AIモードの中の追加質問は新しい検索として数えられます。表示回数の伸びとクリックの伸びが一致しない前提で見てください。
今日できる一歩として、自社の主要なサービスについて、お客様が口にしそうな長めの質問を1つ、実際にAIモードに入れてみてください。答えの下に並ぶ参考リンクに自社があるか、競合が入っているかを見るだけで、次にどのページを直すかが見えてきます。
そのうえで、狙っている言葉での順位を記録しておくと、順位が落ちたのか、順位は同じで検索画面の変化なのかを切り分けられるようになります。この切り分けができると、Googleの更新に振り回されなくなります。
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