「スマホで自分のサイトを開いたら、表示されるまでに何秒もかかる」。中小企業の経営者や店舗オーナーの方から、こんなお悩みをよくいただきます。せっかく検索で見つけてもらえても、開くのが遅ければ、お客様は待たずに離れてしまいます。
スマホの表示速度は、専門のエンジニアに頼まなくても、自分でできる改善策がたくさんあります。画像の見直しや設定の変更だけでも、体感速度は大きく変わります。しかも表示速度は、検索順位にも影響する要素のひとつです。
この記事では、なぜスマホの表示速度が大切なのかという基本から、速度を測る指標、今日からできる具体的な改善手順、つまずきやすい注意点までを、専門用語をできるだけ避けて解説します。読み終えるころには、自社サイトのどこから手をつければいいかが見えてくるはずです。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
なぜスマホの表示速度がそんなに大事なのか

「見た目はきれいだから大丈夫」と思っていても、表示が遅いだけで機会を逃していることがあります。まずは、なぜスマホの速度がこれほど重視されるのかを整理しておきましょう。
スマホ利用が中心の時代、遅いサイトは離れられてしまう
いまや多くのサイトで、アクセスの半分以上がスマートフォンからです。飲食店や美容室、士業といった地域ビジネスなら、その割合はさらに高くなる傾向があります。
スマホの利用者は「今すぐ知りたい」という気持ちで検索していることが多く、待たされることを嫌います。表示に時間がかかるほど、ページが開く前に離脱される割合が増えるため、速度は集客に直結します。
Googleはモバイル版を基準にサイトを評価する
Googleは現在、サイトのスマホ版の内容をもとに検索順位を決める「モバイルファーストインデックス」という仕組みを採用しています。パソコン版がどれだけ速くても、スマホ版が遅ければ評価は上がりにくいということです。
つまり、これからのサイト運営では「スマホでどう見えるか・どれだけ速いか」が基準になります。パソコンの画面だけを見て満足せず、スマホでの表示を確認する習慣が欠かせません。
表示速度は検索順位にも影響する要素のひとつ
Googleは「ページエクスペリエンス」という考え方のなかで、表示速度を含む使い心地を評価に取り入れています。その中心にあるのが、あとで解説する「コアウェブバイタル」という指標です。
ただし、速度だけで順位が決まるわけではありません。あくまで、内容の質が同じくらいのページが並んだときに、使い心地の良いほうが選ばれやすくなる、という位置づけです。速さは「土台」であり、中身とセットで考えることが大切です。
表示速度の良し悪しを測る3つの指標

Googleは表示速度や使い心地を「コアウェブバイタル」という3つの指標で数値化しています。少し専門的に見えますが、意味を知っておくと改善の方向性が定まります。
LCP|メインの内容が表示されるまでの速さ(2.5秒以内が目安)
LCPは、ページで一番大きなコンテンツ(多くは写真やメインの見出し)が表示されるまでの時間です。利用者が「ページが開いた」と感じるタイミングにあたります。
良好の目安は2.5秒以内とされています。写真の容量が大きすぎたり、サーバーの反応が遅かったりすると、この数値が悪化しやすくなります。
INP|タップや操作への反応の速さ(200ミリ秒未満が目安)
INPは、ボタンのタップやメニューの開閉など、利用者の操作に対してページがどれだけすぐ反応するかを表す指標です。良好の目安は200ミリ秒(0.2秒)未満とされています。
この指標は、以前使われていた「FID」に代わって、2024年3月から正式なコアウェブバイタルの指標になりました。FIDが最初の操作だけを見ていたのに対し、INPは訪問中のさまざまな操作を見るため、より実態に近い反応の良さを測れます。
CLS|表示中のレイアウトのずれ(0.1未満が目安)
CLSは、読み込み中に画像や広告が後から入り込んで、画面がガタッとずれる度合いを表します。ボタンを押そうとした瞬間に表示がずれて、別のものを押してしまう、あの不快な現象です。
良好の目安は0.1未満です。画像や広告の表示枠をあらかじめ確保しておくことで、このずれは防げます。速度そのものだけでなく、こうした「見やすさ・使いやすさ」も評価されている点がポイントです。
「75%の利用者が快適」で合格という考え方
これらの指標は、実際にサイトを訪れた人のデータをもとに集計されます。過去28日間のうち、少なくとも75%の利用者が「良好」の範囲に収まっていれば、その指標は合格と判断される仕組みです。
言い換えれば、一部の速い端末で速く表示されればよいのではなく、多くの利用者にとって快適であることが求められます。特にスマホは性能差が大きいため、標準的な機種での体感を意識することが大切です。
2026年8月時点でも、合格ラインは変わっていない
この3つの目安(LCP 2.5秒以内、INP 200ミリ秒未満、CLS 0.1未満)は、2026年8月時点でも変更されていません。ネット上には「基準が厳しくなった」といった情報が出回ることもありますが、公式ドキュメントに記載がなければ従う必要はありません。
なお、INPは2024年3月にFID(初回入力遅延)と入れ替わって導入された指標です。古い解説記事ではFIDのまま説明されていることがあるので、情報の日付を必ず確認してください。
迷ったときは、Googleの検索セントラルやweb.devの公式ページで現在の基準を確かめるのが確実です。ツールやまとめ記事の数字を鵜呑みにしないことをおすすめします。
まず自分のサイトの速度を測ってみよう

改善の前に、今の自分のサイトがどれくらいの速度なのかを知りましょう。数値がわかれば、どこに問題があるのかも見えてきます。無料で使えるツールを2つ紹介します。
PageSpeed Insightsで無料でチェックする
Googleが無料で提供している「PageSpeed Insights」に自社サイトのURLを入れるだけで、スマホとパソコンそれぞれの速度スコアと、先ほどの3指標の状態を確認できます。検索で「PageSpeed Insights」と調べればすぐに見つかります。
結果画面では、点数だけでなく「改善できる項目」も具体的に示されます。何を直せば速くなるかがリスト形式で表示されるので、専門家でなくても取りかかりやすいのが利点です。
サーチコンソールの「ウェブに関する主な指標」レポート
Googleサーチコンソールを導入していれば、「ウェブに関する主な指標」というレポートで、サイト全体のページがコアウェブバイタルの基準を満たしているかをまとめて確認できます。実際の利用者データにもとづくため、より実態に近い評価が分かります。
「不良」や「改善が必要」と判定されたURLがあれば、そこが優先的に手を入れるべきページです。まだサーチコンソールを使っていない方は、この機会に導入をおすすめします。

スコアの数字に振り回されすぎない
速度ツールのスコアは、測るたびに多少変動します。1点2点の上下に一喜一憂するより、「不良」を「良好」に近づけるという大きな方向で見るのがおすすめです。
また、点数を100点満点にすることが目的ではありません。あくまで利用者が快適に使えることがゴールです。数字は現状把握と改善の手がかりとして、道具のように使いましょう。
PageSpeed Insightsに「Agentic Browsing」という項目が増えた(2026年5月〜)
PageSpeed Insightsの中身を動かしているのは、Lighthouse(ライトハウス)という測定エンジンです。2026年5月7日に公開されたLighthouse 13.3で、新しく「Agentic Browsing(エージェント型ブラウジング)」というカテゴリが追加されました。
これは、AIエージェント(人の代わりにサイトを見たり操作したりするAI)が、そのページをきちんと読み取って動けるかを確認する項目です。llms.txtというファイルの有無なども確認対象に含まれています。
ほかのカテゴリと違って0〜100点の総合点は出ず、「いくつの項目を通過したか」という形で表示されます。Googleはこのカテゴリを実験段階(experimental)と明示しており、検索順位を決める要素ではありません。
Google検索側は2026年5月の生成AI向けの案内で、AI検索のためにllms.txtのような特別なファイルを用意する必要はないと説明しています。ここが赤くなっていても、慌てて対応する必要はありません。
表示速度の改善という本来の目的からは外れる項目なので、まずはLCP・INP・CLSの3つに集中してください。

スマホの表示速度を上げる方法【画像編】

表示が遅い原因の多くは、実は画像にあります。画像は手を入れやすく効果も出やすいので、まずはここから始めるのがおすすめです。
画像の容量を圧縮する
スマホで撮った写真をそのまま載せると、1枚で数メガバイトになることもあります。これが表示を重くする最大の原因です。画像圧縮ツールを使えば、見た目をほとんど変えずに容量を大きく減らせます。
無料の圧縮サービスや、WordPressなら圧縮用のプラグインもあります。新しく載せる画像は、アップロード前に圧縮する習慣をつけるだけでも、体感速度はぐっと軽くなります。
次世代フォーマット(WebP)を使う
「WebP(ウェッピー)」という画像形式は、従来のJPEGやPNGよりも軽い容量で同じ画質を保てます。最近のスマホやブラウザはほぼ対応しているため、安心して使えます。
WordPressの場合、画像を自動でWebPに変換してくれるプラグインを使えば、専門知識がなくても導入できます。写真の多いサイトほど効果が大きくなります。
画像の表示サイズを指定してレイアウトのずれを防ぐ
画像に縦横のサイズ情報がないと、読み込みのたびに表示枠が確定せず、先ほどのCLS(レイアウトのずれ)が起きやすくなります。画像の幅と高さをあらかじめ指定しておくことで、これを防げます。
多くのサイト作成ツールやWordPressのテーマでは、画像を挿入すると自動でサイズが設定されます。手作業でコードを書いている場合は、幅と高さの指定を忘れないようにしましょう。
遅延読み込み(レイジーロード)を活用する
遅延読み込みとは、画面に表示される直前まで画像の読み込みを後回しにする仕組みです。最初に見える部分だけを先に読み込むため、ページの表示開始が速くなります。
この機能は最近のWordPressやブラウザに標準で備わっていることが多く、特別な設定なしで働く場合もあります。画像やイラストをたくさん使うページで効果を発揮します。
スマホの表示速度を上げる方法【サイト設定編】

画像の次に見直したいのが、サイト全体の設定や仕組みです。少しだけ手間はかかりますが、一度整えれば効果が長く続きます。
不要なプラグインを減らす(WordPressの場合)
WordPressで機能を追加できるプラグインは便利ですが、増えすぎると読み込みが重くなる原因になります。使っていない、目的が重複しているプラグインは、思いきって停止・削除しましょう。
停止する前には必ず動作を確認し、サイトが問題なく表示されるかチェックしてください。「入れっぱなし」を見直すだけでも、速度が改善することは少なくありません。
キャッシュを活用する
キャッシュとは、一度表示したページの内容を一時的に保存しておき、次回の表示を速くする仕組みです。WordPressならキャッシュ用のプラグインを導入することで、専門知識がなくても利用できます。
キャッシュを有効にすると、2回目以降のアクセスが目に見えて速くなります。ただし、更新した内容がすぐ反映されないこともあるため、設定変更後は表示を確認しましょう。
サーバーの性能を見直す
サイトの土台であるサーバーの反応が遅いと、どれだけ画像を軽くしても速度は頭打ちになります。格安すぎるプランや、アクセスが増えて手狭になったサーバーを使っている場合は、見直しの余地があります。
国内の主要なレンタルサーバーには、表示速度に力を入れた高速なプランが増えています。サーバーの乗り換えやプランのアップグレードも、地味ですが効果的な改善策です。
使っていないコードや広告タグを整理する
過去に設置したまま使っていない解析タグや広告タグ、外部サービスの読み込みが、知らないうちに速度を落としていることがあります。現在使っていないものは削除しておきましょう。
特に、複数の外部ツールを読み込んでいるサイトは、それぞれが表示を待たせる原因になります。本当に必要なものだけに絞り込むことが、軽いサイトへの近道です。
Webフォントの使い方を見直す
見落とされやすいのがWebフォントです。とくに日本語のフォントは収録している文字数が多く、ファイル容量が英語のフォントより桁違いに大きくなります。
デザイン性のために何種類も読み込んでいると、それだけで表示が数秒遅れることがあります。使う書体は本文用と見出し用の2種類までに絞るのが現実的です。
WordPressのテーマによっては、設定画面から「使わないフォントを読み込まない」に切り替えられます。まずは、実際には使っていない書体が読み込まれていないかを確認してみてください。
太字や斜体まで個別に読み込む設定になっていることもあります。必要な太さだけに絞るだけでも、体感はかなり変わります。
速度改善で気をつけたい注意点

速度改善は効果が大きい一方で、やり方を誤るとサイトが崩れたり、逆効果になったりすることもあります。安全に進めるための注意点を押さえておきましょう。
速さだけを追い求めて中身を削らない
表示を速くしたいあまり、必要な画像や説明まで削ってしまうのは本末転倒です。利用者にとって役立つ情報が薄くなれば、速くなっても成果にはつながりません。
あくまで「必要な内容を、できるだけ軽く届ける」のが目的です。中身の充実と速度のバランスを意識して、削るべきは無駄な要素だけにとどめましょう。
変更前には必ずバックアップを取る
プラグインの削除やサーバーの設定変更は、まれに表示崩れや不具合を招くことがあります。作業の前には、サイトのバックアップを取っておくと安心です。
WordPressならバックアップ用のプラグインや、サーバー側のバックアップ機能が使えます。「元に戻せる状態」を用意してから作業する。これが失敗を大ごとにしないコツです。
一度に全部やらず、効果を測りながら進める
複数の改善を一度にまとめて行うと、どれが効いたのか、あるいは何が不具合の原因なのかが分からなくなります。ひとつ手を入れたら速度を測り、また次へ、と段階的に進めましょう。
地道に見えますが、この進め方がもっとも確実です。効果を確認しながら進めれば、無理なく、そして安全にサイトを軽くしていけます。
速度を改善したら順位の変化を確かめよう

速度改善はやりっぱなしにせず、効果が出ているかを数字で確かめることが大切です。変化を追うことで、次の改善にもつなげられます。
サーチコンソールで指標の変化を追う
改善のあとは、サーチコンソールの「ウェブに関する主な指標」を再び確認し、「不良」だったURLが「良好」に近づいているかを見ていきます。実際の利用者データが反映されるまで数週間かかることもあるため、少し時間をおいて確認しましょう。
表示回数やクリック数、平均掲載順位の変化もあわせて追うと、速度改善が集客にどう効いたかが見えてきます。焦らず、傾向をつかむ姿勢が大切です。
検索順位も定期的に記録して効果を検証する
速度を改善しても、狙ったキーワードでの検索順位が実際に動いたかどうかは、記録して比べないと分かりません。手作業での順位確認は手間がかかるうえ、閲覧履歴の影響で正確な順位が分かりにくいこともあります。
順位チェックツールを使えば、毎日自動で順位が記録されるため、施策の前後を客観的な数字で振り返れます。「速度を直したら順位がどう動いたか」を可視化することが、改善を続ける力になります。


AI検索での見え方も測れるようになった(2026年6月〜)
2026年6月3日、Googleはサーチコンソールに「生成AIパフォーマンス」のレポートを追加すると発表しました。AIによる概要やAIモードでの表示回数が確認できるものです。
ただし分かるのは表示回数とその内訳(ページ・国・デバイス・日付)が中心で、クリック数・CTR・検索語句・掲載順位は含まれません。段階的な提供のため、まだ表示されないアカウントもあります。
表示速度の改善が直接この数字を動かすわけではありませんが、通常の検索と合わせて見ておくと、サイト全体の状況をつかみやすくなります。

よくある質問(FAQ)
Q. 表示速度を改善すれば必ず検索順位は上がりますか?
速度改善は順位に良い影響を与える要素のひとつですが、それだけで必ず上がるわけではありません。順位を左右する最大の要因は、利用者の検索意図に応える記事の中身です。
速度は、質の高い内容を正しく評価してもらうための「土台」だとお考えください。中身の充実と速度改善を両輪で進めることで、成果につながりやすくなります。
Q. パソコンでは速いのですが、スマホ対策も必要ですか?
はい、むしろスマホ対策のほうが重要です。Googleはスマホ版を基準にサイトを評価しますし、多くのサイトでアクセスの中心はスマートフォンだからです。
パソコンで速くても、スマホで遅ければ機会を逃してしまいます。必ずスマホの実機、または速度ツールのスマホ向け結果で確認するようにしましょう。
Q. 専門知識がなくても自分でできますか?
画像の圧縮や不要なプラグインの整理など、専門知識がなくても取り組める改善はたくさんあります。この記事で紹介した手順は、その多くを自分で試せる内容です。
一方で、サーバーの移行や複雑なコードの調整など、判断に迷う部分は無理をせず専門家に相談するのが安全です。できるところから少しずつ進めていきましょう。
Q. PageSpeed Insightsのスコアは何点あればいいですか?
明確な合格点はありません。Googleが実際に評価に使っているのは、点数ではなく実際の利用者のデータにもとづくLCP・INP・CLSの3指標です。
点数はあくまで改善のヒントを見つけるための目安です。100点を目指して中身を削るより、3指標が「良好」に入っているかを基準に判断してください。
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まとめ|スマホの表示速度は、自分で改善できる集客の土台
なお、合格ラインとなるLCP 2.5秒以内・INP 200ミリ秒未満・CLS 0.1未満という目安は、2026年8月時点でも変わっていません。基準が変わったという情報を見かけたら、まずGoogleの公式ドキュメントで確かめてください。
スマホの表示速度は、利用者の離脱を防ぎ、Googleからの評価を支える大切な要素です。Googleはスマホ版を基準にサイトを評価し、表示速度を含む使い心地を「コアウェブバイタル」という3つの指標(LCP・INP・CLS)で見ています。まずはPageSpeed Insightsやサーチコンソールで、自社サイトの現状を測ることから始めましょう。
改善の第一歩は、多くの場合いちばん重い原因である画像の見直しです。容量の圧縮やWebPの活用、表示サイズの指定、遅延読み込みだけでも、体感速度は大きく変わります。あわせて、不要なプラグインの整理やキャッシュの活用、サーバーの見直しといった設定面も効果的です。作業の前にはバックアップを取り、一度に全部やらず効果を測りながら段階的に進めるのが、失敗しないコツです。
そして忘れたくないのが、改善したあとに効果を数字で確かめる視点です。速度を直したら、検索順位やアクセスがどう変わったかを追うことで、次の一手が見えてきます。地道な積み重ねが、サイトを少しずつ強くしていきます。
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