不動産会社のSEOは何から手をつければいいのか、SUUMOやアットホームといったポータルサイトへの依存から抜け出せない、というご相談をよくいただきます。結論から言うと、物件ページを増やすことではなく、物件ページ以外のページを整えることが先です。
この記事では、不動産会社の自社サイトが検索で埋もれてしまう理由と、掲載が終わった物件ページの正しい処理、狙うべきキーワードの決め方、そして広告表示のルールとの付き合い方までを、順を追って整理します。
専門用語はできるだけ使いません。社内にWeb担当者がいない会社でも、社長や営業担当の方が読んでそのまま指示を出せる形にまとめています。
読み終えたときに「来週、まずこの3つを直そう」と言い切れる状態を目指します。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
なぜ不動産会社の自社サイトは検索で埋もれるのか

同じ物件情報が何十社のサイトに載っている
不動産の物件情報は、業界の仕組み上、1つの物件が複数の会社のサイトに同時に掲載されます。元になる情報が同じなので、間取り・面積・駅からの徒歩分数といった記載もほぼ同じ内容になります。
検索エンジンから見ると、これは「ほとんど同じ内容のページが世の中にたくさんある」という状態です。その中でどれか1つを選んで検索結果に出すことになるため、多くの場合は最も評価の高い大手ポータルサイトが選ばれます。
つまり、物件ページを何百ページ増やしても、それだけでは自社サイトの検索順位は上がりにくい構造になっています。ここを理解しないまま物件ページの数だけを追うと、労力がほとんど報われません。
物件ページは「賞味期限」が短い
物件は成約すれば掲載が終わります。数週間から数か月で消える情報が、サイトの大半を占めているのが不動産会社のサイトの特徴です。
検索エンジンは、時間をかけてページを読み込み、評価を積み上げていきます。評価がたまる前に消えてしまうページばかりでは、サイト全体としての力が育ちません。
「会社を選ぶための情報」がほとんど無い
多くの不動産会社のサイトは、物件一覧と会社概要とお問い合わせフォームだけで構成されています。売却を考えている人、相続した実家をどうするか迷っている人、初めて賃貸を借りる学生。それぞれが抱えている疑問に答えるページが、ほとんど存在しません。
ポータルサイトに勝てない土俵で戦うのをやめて、ポータルサイトが書かない情報で勝負する。これが不動産会社のSEOの基本方針になります。
同じように、地域密着で高単価な商材を扱う業種としては工務店・リフォーム会社があります。考え方の共通点が多いので、あわせて読んでみてください。

物件ページが評価されない3つの理由

理由1|内容が他社サイトとほぼ同じ
物件情報の項目そのものは変えられません。所在地も面積も築年数も、事実として決まっています。
変えられるのは、その物件に対して自社が付け加えるコメントです。実際に現地を見た担当者だけが書ける一言があるかどうかで、ページの価値は大きく変わります。
たとえば「南向きバルコニー」という項目に対して、「午後2時に内見したところ、隣家の影が入らず洗濯物がしっかり乾く日当たりでした」と書き添える。これは他社のページには絶対に存在しない情報です。
理由2|1ページあたりの文章量が極端に少ない
物件ページの多くは、表とスペック値と写真だけで構成されています。文章としてはほとんど何も書かれていない状態です。
Googleは公式に「コンテンツの最小の長さ」を決めておらず、文字数だけでは順位に影響しないと説明しています。ただ、検索する人の疑問に答えられる中身が無いページは、結果として評価されにくくなります。
物件ごとに200字から300字でよいので、周辺環境・想定する住み手・注意点を書き添えるルールを社内で決めるところから始めてください。
理由3|そもそもインデックスされていない
物件検索システムを外部サービスで動かしている場合、物件ページのURLが検索エンジンに読み込まれていないことがあります。検索結果に出ない以上、順位以前の問題です。
Search Consoleの「ページ」レポートを開けば、登録されているページ数と、登録されなかった理由を確認できます。まずここを見てから、次の打ち手を決めてください。

掲載が終わった物件ページの正しい消し方

消し方を間違えると、おとり広告になりかねない
成約済みの物件ページをそのまま残しておくと、検索から来た人が「まだ空いている」と誤解します。これは集客の問題であると同時に、法令上の問題にもなります。
消費者庁は、景品表示法にもとづく告示「不動産のおとり広告に関する表示」で、3つの類型を不当表示として定めています。①取引できない物件が存在しないのに表示する場合、②物件は存在するが実際には取引の対象になり得ない場合(例として売約済みの物件が挙げられています)、③物件は存在するが実際には取引する意思がない場合です。
売約済みの物件を載せたままにすることは、この②に該当し得ます。消費者庁は、この告示に違反すると認められた事業者に対して措置命令などの措置を行うと説明しています(措置命令は都道府県知事が行う場合もあります)。
Googleが案内している処理は404か410
ページが完全に無くなり、代わりになるページも無い場合、Googleの公式ドキュメントは404(Not Found)または410(Gone)を返すよう案内しています。どちらもブラウザと検索エンジンに対して「このページは存在しない」と明確に伝えるコードです。
やってはいけないのは、画面上は「ページが見つかりません」と表示しながら、サーバーとしては200(正常)を返し続けることです。中身のほとんど無いページも含めて、この状態はソフト404と呼ばれ、Search Consoleでも指摘されます。
似た物件があるなら転送、無いなら削除
同じマンションの別の部屋が出ているなど、明確な代わりのページがある場合は、そちらへ転送(301リダイレクト)する選択もあります。訪問した人にとっても行き止まりになりません。
ただし、無関係な物件一覧やトップページへまとめて転送するのは避けてください。内容が対応していない転送は、Googleからソフト404として扱われることがあります。
なお、Googleは重複したURLをまとめる方法として、影響力の強い順にリダイレクト、rel=”canonical”の指定、サイトマップへの収録を挙げています。同時に、正規化の目的でrobots.txtやURL削除ツールを使わないよう明記しています。
ただし、これらの指定は必須ではありません。指定しなくてもGoogleが自動で1つを選ぶ仕組みになっており、複数の方法を組み合わせるとより伝わりやすくなる、という位置づけです。
物件URLの作り方も先に決めておく
物件番号だけのURLは、消えたときに何のページだったか誰にも分かりません。エリア名や種別を含めた分かりやすい構造にしておくと、後の管理が楽になります。

不動産で本当に狙うべきキーワードは物件名ではない

エリア×目的の組み合わせで考える
「◯◯市 賃貸」のような大きな言葉は、ポータルサイトが上位を占めています。中小の不動産会社が正面から取りに行っても、まず届きません。
狙い目は、もう少し具体的な組み合わせです。「◯◯駅 ペット可 マンション」「◯◯市 実家 売却 相談」「◯◯町 駐車場2台 戸建て」のように、条件が付いた言葉は競合が一気に減ります。
検索する人の条件が細かいほど、その人は本気で探しています。問い合わせにつながる確率も、大きな言葉より高くなります。
売却・相続・住み替えは自社サイトの独壇場
ポータルサイトは物件を探す人のための場所です。一方で「家を売りたい」「相続した実家をどうするか」といった相談は、ポータルサイトの守備範囲から外れます。
ここは自社サイトが正面から勝負できる領域です。査定の流れ、必要書類、税金の考え方、売り出しから引き渡しまでの期間。実務で毎日答えている内容が、そのまま記事になります。
ただし、税務や相続登記のように専門判断が必要な話に踏み込む場合は、「詳しくは税理士や司法書士にご相談ください」と明記してください。断定した助言は避けるのが安全です。
エリアページは「住む人の目線」で書く
取扱エリアごとのページを作る会社は多いのですが、駅名と物件一覧だけで終わっているケースがほとんどです。それでは他社のエリアページと区別がつきません。
スーパーの閉店時間、小学校までの距離、朝の駅の混み具合、坂の有無。地元で商売をしている会社だから書ける情報を入れると、ページの性格が変わります。

広告表示のルールを守ることがSEOの土台になる

使ってはいけない言葉が決まっている
不動産の広告には「不動産の表示に関する公正競争規約」という業界の自主ルールがあります。ポータルサイトの掲載基準も、これがベースになっています。
表示規約第18条第2項は、「完全」「完ぺき」「絶対」「万全」、「日本一」「業界一」「当社だけ」、「特選」「厳選」、「最高」「最高級」「極」、「格安」「激安」「掘出」、「完売」といった用語について、その表示内容を裏付ける合理的な根拠を示す資料を現に有している場合を除いて使用してはならないと定めています。
さらに「最高」系と「格安」系については、根拠資料を持っているだけでは足りず、根拠となる事実を併せて表示した場合に限り使えるとされています。SEOのためにキャッチコピーを強くしたくなる場面ほど、ここは慎重になってください。
「新築」「LDK」にも定義がある
表示規約第18条第1項では、「新築」は建築工事が完了してから1年未満であって、居住の用に供されたことがないものに限る、と定義されています。1年を超えた未入居物件は「未入居戸建」などと表示すればよい、と協議会は説明しています。
DKとLDKについては、規約本体は「居室数に応じて必要な広さ・形状・機能を有するもの」と定めるにとどまり、具体的な畳数は不動産公正取引協議会連合会の指導基準で示されています。居室(寝室)が1部屋の場合はDKが4.5畳・LDKが8畳、2部屋以上の場合はDKが6畳・LDKが10畳が目安とされています。
この指導基準は、広告表示のあり方を示すものであって、建物そのものの広さの基準を定めたものではないと明記されています。表示の判断材料として使ってください。
ルール順守は遠回りではなく近道
誇張表現を削ると、一見すると訴求力が落ちるように感じます。しかし実際には、根拠を併記した具体的な表現のほうが、読み手にとって判断しやすい文章になります。
協議会が示している「特選」の表示例も、選別の基準を具体的に書き出す形になっています。基準を書くことがそのままセールスポイントになる、という説明です。
判断に迷う表現があるときは、所属している不動産公正取引協議会に相談してください。個別の事案について確認できます。
信頼できる会社だと伝えるための情報設計

誰が書いているかを明示する
不動産は、人生で最も大きな金額が動く取引の1つです。読み手は「この会社は信用できるのか」を必ず確かめようとします。
記事や解説ページには、書いた人の名前と資格、担当歴を入れてください。宅地建物取引士の資格や、そのエリアで何年営業しているかは、そのまま信頼の材料になります。
会社情報は隠さず、正確に、1か所にまとめる
宅地建物取引業の免許番号、事務所の所在地、電話番号、加盟している団体名。これらが1つのページに揃っていることが基本です。
表示義務の細かい範囲は宅地建物取引業法や各都道府県の指導によります。判断に迷う場合は、所属の協議会や専門家にご確認ください。
なお、Googleがサポートする構造化データの一覧には、不動産の「物件情報」専用のリッチリザルトは含まれていません。パートナー向けのバケーションレンタル(短期の貸別荘)用の機能はありますが、一般の売買・賃貸物件を対象にしたものではありません。
一方で、会社そのものはローカルビジネス(不動産会社であればRealEstateAgent)として記述できます。構造化データは、物件を目立たせるためではなく、会社情報を機械にも正しく伝える用途で使うのが現実的です。
実際の取引事例を、匿名でよいので載せる
「◯◯市の築25年戸建て、売り出しから3か月で成約」といった事例は、その会社にしか書けません。個人が特定されない範囲で、経緯と工夫した点を書き残してください。
事例が10本たまると、それだけで会社の実力を示すページ群になります。新しい記事を書くより、まず社内にある実績を文章にするほうが早い場合も多いです。

地図からの集客を捨てない|不動産会社とMEO

「◯◯市 不動産屋」で探す人は近くにいる
物件を探す人はポータルサイトを使いますが、会社を探す人はGoogleマップを使います。とくに売却相談や、地元でじっくり相談したい層はこの動き方をします。
Googleビジネスプロフィールの情報が古いままだと、この層をまるごと取り逃がします。営業時間、定休日、駐車場の有無、店舗の外観写真は最低限そろえてください。
クチコミへの返信は必ず書く
不動産は金額が大きい分、クチコミが厳しくなりやすい業種です。低い評価が付いたときこそ、事実関係を丁寧に説明した返信を残してください。
返信は、その投稿者だけでなく、後から見る何百人もの見込み客に向けた文章です。感情的な反論ではなく、対応の姿勢を示す場と考えるとうまくいきます。
店舗名や住所の書き方を全サイトで統一する
自社サイト、Googleビジネスプロフィール、ポータルサイトの会社情報。この3か所で会社名や住所の書き方がずれていると、同じ会社だと認識されにくくなります。
「株式会社」の位置、ビル名の有無、丁目のハイフン表記まで、社内で1つの正解を決めて統一してください。地味な作業ですが効果は確実です。

最初の90日でやること|優先順位のつけ方

1か月目|現状を数字で把握する
Search Consoleを開き、過去3か月にどんな言葉で表示されているかを見てください。物件名ばかりなのか、エリア名や相談系の言葉が混じっているのかで、次の一手が変わります。
あわせて、掲載終了物件のページがいくつ残っているかを数えてください。ここが100ページ単位で残っている会社は少なくありません。
2か月目|掃除と土台づくり
掲載終了物件の処理ルールを決めて実行します。同時に、会社概要と担当者紹介のページを作り直してください。
新しい記事を書き始めるのはこの後で構いません。土台が緩いまま記事だけ増やしても、成果が出るまでの時間が延びるだけです。
3か月目|相談系のページを3本つくる
売却の流れ、相続した家の扱い、初めての賃貸契約。自社に問い合わせが多い順に3つ選び、それぞれ1ページずつ作ります。
内容は、営業担当が電話で説明していることをそのまま文章にすれば足ります。新しく調べ直す必要はありません。
効果は順位ではなく問い合わせで見る
SEOの成果が動き出すまでには時間がかかります。Googleも、変更の反映には数時間から数か月かかる場合があり、一般的には数週間待ってから確認するよう案内しています。
日々の順位の上下に一喜一憂せず、月単位のクリック数と問い合わせ件数で判断してください。そのうえで、狙っているキーワードの動きだけは記録として残しておくと、判断材料が増えます。

よくある質問(FAQ)

ポータルサイトへの掲載はやめるべきですか
やめる必要はありません。物件を探している人が最初に見る場所である以上、掲載を続ける合理性はあります。
問題は、そこだけに依存している状態です。掲載料が上がったときや掲載順位のルールが変わったときに、打つ手が無くなります。自社サイトは、その保険として育てるものだと考えてください。
物件ページは検索エンジンに登録しないほうがいいですか
一律に登録しない設定にするのは、おすすめしません。自社が専任で預かっている物件など、他社に出ていない情報が含まれる場合があるためです。
まずは自社コメントを書き加える運用を試し、それでも表示が伸びない場合に、絞り込みの条件だけを組み合わせた検索結果ページなどから順に整理していくのが現実的です。
ブログは何を書けばいいか分かりません
今週、電話で聞かれた質問をそのまま書いてください。「住宅ローンの事前審査って何日かかりますか」「内見のとき何を持っていけばいいですか」といったものです。
実際に聞かれた質問は、検索でも必ず調べられています。ネタを探す時間より、答えを書く時間に使ったほうが早く成果に届きます。
効果が出るまでどのくらいかかりますか
Googleは反映までの期間について、数時間から数か月とし、一般的には数週間待ってから確認するよう案内しています。変更すれば必ず変化が現れるわけではない、とも明記しています。
不動産のように検討期間が長い商材の場合、問い合わせとして表に出るまでにさらに時間がかかります。半年単位で見る前提で、途中経過はクリック数で確認してください。
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まとめ|物件ページを増やす前に、消し方と会社の見せ方を直す
不動産会社のSEOは、物件ページの数で決まりません。同じ物件情報が何十社にも載っている以上、そこで差はつきにくいためです。
先に手を付けるべきは、掲載が終わった物件ページの処理です。売約済みの物件を残したままにすることは、消費者庁の告示が示すおとり広告の類型に該当し得ます。Googleの案内どおり404か410を返し、明確な代わりがある場合だけ転送してください。
狙うキーワードは、大きなエリア名ではなく条件付きの言葉と、売却・相続・住み替えといった相談系の言葉です。ここはポータルサイトの守備範囲の外側で、自社サイトが正面から戦える場所です。
表現面では、公正競争規約の特定用語の使用基準を守ってください。「最高」や「格安」は根拠資料に加えて根拠となる事実の併記が必要で、「新築」は建築工事完了後1年未満かつ未入居に限られます。
そのうえで、誰が書いているか、どんな実績があるかを明示し、Googleビジネスプロフィールを最新に保つ。この積み重ねが、ポータルサイトに頼らない問い合わせの流れをつくります。
今日できることを1つ挙げるなら、自社サイトの物件一覧を開いて、成約済みのまま残っているページを数えることです。数が分かれば、来週やることは自動的に決まります。
そのうえで、狙っているキーワードの順位が日々どう動いているかを残しておきたい方は、AccessScopeの無料プランをお試しください。サイトのURLとキーワードを登録するだけで、毎日自動で順位を記録します。10キーワードまで無料・クレジットカードの登録も不要です。

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