「ホームページはあるのに、問い合わせにつながらない」。そう相談を受けたとき、筆者がまず開くのは商品ページでもトップページでもなく、会社概要のページです。
そこが数行しか書かれていなかったり、そもそも見つからなかったりするサイトは驚くほど多くあります。読み手からすれば「この会社、どこの誰なんだろう」という不安を抱えたまま読み進めることになります。
この記事では、運営者情報・会社概要ページがなぜ検索でも成果でも効いてくるのかを整理したうえで、載せるべき項目、個人事業主が住所や電話を出しにくいときの選択肢、よくある失敗、そして公開後にやるSEO設定までを順に解説します。読み終えるころには、自社のページに何を足せばよいかがはっきりしているはずです。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
なぜ「運営者情報」が信頼と検索順位に効くのか

会社概要は、多くのサイトで「とりあえず作った」まま放置されがちなページです。しかし検索の世界では、ここが土台になります。
理由は、Googleがコンテンツを評価するときに「誰が書いたのか」を強く気にしているからです。まずはその考え方から押さえていきましょう。
Googleが最も重視するのは「信頼性(Trust)」
GoogleはE-E-A-Tという言葉で、経験(Experience)・専門性(Expertise)・権威性(Authoritativeness)・信頼性(Trustworthiness)の4つを挙げています。
そのうえで公式ドキュメントは、この中でも信頼性が最も重要である と明記しています。他の3つは信頼性を支える要素であり、すべてに秀でている必要はない、という整理です。
つまり、専門的な記事をいくら積み上げても、その情報を誰が出しているのか分からなければ土台が抜けたままになります。会社概要ページは、その土台を最も直接的に示す場所です。
なお、Googleは「E-E-A-Tそのものは直接のランキング要因ではない」とも説明しています。あくまで、E-E-A-Tが優れたコンテンツを見分けるための要素の組み合わせを使っている、という位置づけです。
「誰が・どのように・なぜ」に答えるページ
Googleは、コンテンツを作るときの自己点検として「誰が(Who)・どのように(How)・なぜ(Why)」を考えることを勧めています。
このうち「誰が」については、著者が明確か、しかるべき場所に署名(バイライン)があるか、その署名から経歴や専門分野の情報にたどり着けるか、という3点が挙げられています。
会社概要と著者プロフィールは、この「誰が」に答えるためのページです。記事の内容そのものを変えなくても、ここを整えるだけで読み手の受け取り方は変わります。
検索エンジンだけでなく、人の判断材料になっている
実際の購買行動を考えれば、この重要性はもっと分かりやすくなります。初めて見たサイトで数十万円のサービスを申し込むとき、多くの人は会社概要を一度は開きます。
そこに所在地も代表者名もなければ、比較検討の段階で静かに候補から外れます。順位が上がっても問い合わせが増えない会社には、この抜けが原因になっているケースが少なくありません。
筆者がこれまで関わってきたWeb制作・SEOの現場でも、記事を増やすより先に会社概要を作り込んだほうが反応が良くなった例は何度もあります。
AI検索の時代は「実在する会社か」がより問われる
AIによる概要(AI Overviews)やChatGPTのようなAIが情報をまとめて答える場面では、引用元として選ばれるかどうかが流入を左右します。
AIは文章を要約するときに、その情報源が何者なのかを手がかりにします。運営者が特定できないサイトより、会社名・所在地・責任者が一貫して示されているサイトのほうが扱いやすいのは自然なことです。
ただしGoogleは、生成AI向けに特別なマークアップや特殊な書き換えが必要だとは説明していません。やるべきことは、通常のSEOで求められる「誰が運営しているかを明示する」ことの延長線上にある と考えてください。
E-E-A-Tの全体像や、信頼を示す具体策については別の記事で詳しくまとめています。あわせてご覧ください。

運営者情報ページに載せる9つの基本項目

ここからは実務です。何を書けばよいのか、優先度の高い順に9つ挙げます。
すべてを一度に完璧にする必要はありません。まずは①〜④だけでも埋めれば、読み手の不安はかなり減ります。
①正式な会社名・屋号
登記されている正式名称を、略さずに書きます。「株式会社」が前に付くのか後ろに付くのかまで正確に合わせてください。
ここが名刺・請求書・Googleビジネスプロフィールとずれていると、同一の事業者だと認識されにくくなります。表記のゆれは意外と多いので、一度まとめて見直す価値があります。
②代表者名(フルネーム)
代表者の氏名をフルネームで記載します。「代表 田中」のような省略形は、かえって不信感を招きます。
個人事業であれば、屋号と本人の氏名の両方を書きます。誰が責任を持っているのかが一行で分かる状態にするのが目的です。
③所在地
都道府県から建物名・部屋番号まで書きます。地図を埋め込むと、実在する場所であることがより伝わります。
複数拠点がある場合は本社を先頭に置き、支店や工場を続けます。地域名が入ることで、地域名を含む検索との相性も良くなります。
④連絡先(電話・メール・フォーム)
電話番号、メールアドレス、問い合わせフォームのうち、可能なものを複数用意します。連絡手段が1つしかないサイトは、それだけで敬遠されることがあります。
受付時間や定休日も添えておくと親切です。「連絡が取れる」ことが分かる状態が、信頼性の最低ライン と考えてください。
⑤設立年と沿革
設立年、資本金、従業員数など、規模が分かる情報を書きます。小さい会社だからと隠す必要はありません。
むしろ「2021年設立・少人数で運営」と正直に書いたほうが、期待値のずれによるトラブルを防げます。沿革は3〜5行の箇条でも十分です。
⑥事業内容
何をしている会社なのかを、専門用語を避けて書きます。社内でしか通じない事業名だけを並べても、初めての人には伝わりません。
「ホームページ制作」「SEOコンサルティング」のように、実際に検索されている言葉で書くのがコツです。ここは自然と検索キーワードとも重なります。
⑦資格・許認可・加盟団体
業種によって必要な許認可(建設業許可、宅建業免許、古物商許可など)があれば、番号まで記載します。これは法令上の要請であると同時に、強い信頼の証拠になります。
資格や加盟団体も同様です。第三者が発行している情報は、自社が自分で言うより説得力があります。
⑧代表者の顔写真・オフィスの写真
顔写真を1枚載せるだけで、ページの印象は大きく変わります。人物が特定できることは、実在性の裏付けになります。
抵抗がある場合は、事務所の外観やスタッフが働いている様子の写真でも構いません。素材サイトの写真ではなく、自分たちで撮ったものを使ってください。
⑨関連ページへのリンク
プライバシーポリシー、利用規約、問い合わせページへのリンクを置きます。通販をしている場合は特定商取引法に基づく表記も必須です。
これらは単独で存在していても見つけてもらえません。会社概要から相互にたどれるようにしておくと、サイト全体の信頼度が上がります。
個人事業主・自宅開業でも信頼を落とさない書き方

ここで多くの方が止まります。自宅で仕事をしていて、住所や電話番号をそのまま出すのは怖い、という悩みです。
これは正当な心配です。隠すか出すかの二択で考えず、現実的な落としどころを探しましょう。
住所を出したくないときの現実的な選択肢
レンタルオフィスやバーチャルオフィスの住所を契約して、それを事業所所在地として使う方法があります。月数千円から利用でき、法人登記に対応している事業者もあります。
注意したいのは、Googleビジネスプロフィールに登録して店舗集客も狙う場合です。Googleは、実際にはサービスを提供していない郵送先だけの住所(バーチャルオフィス)を登録できないとしています。
コワーキングスペースなども、営業時間中にスタッフが常駐し、常設の看板があることが条件です。契約前に、自社の使い方がこの条件を満たすかを確認してください。
どうしても難しい場合は、市区町村までを公開して「詳細はお問い合わせ時にご案内します」と添える方法もあります。完全な空欄よりは、はるかに印象が良くなります。
電話番号を載せられないときの代替
携帯番号を公開したくない場合は、050から始まるIP電話や電話代行サービスを使う手があります。転送設定をすれば、実際の受け答えは手元のスマートフォンでできます。
電話をまったく置かない方針なら、問い合わせフォームの返信目安(例:2営業日以内)を明記してください。連絡が取れないことではなく、いつ返ってくるか分からないことが不安の正体 だからです。
通販をしているなら特定商取引法の表記が別途必要
自社サイトで商品やサービスを販売している場合、特定商取引法に基づく表記が法律上の義務になります。事業者名、所在地、連絡先、販売価格、送料や手数料、支払い方法と時期、引き渡し時期、返品の可否と条件などを掲載します。
住所と電話番号については、請求があれば遅滞なく書面やメールで提供する旨を表示し、実際にその体制を整えている場合に限り、省略が認められています。一方で、返品の可否と条件や、定期購入のような継続契約の条件は省略できません。
記載がない、または不十分な場合は、指示や業務停止命令といった行政処分の対象になり得ます。
具体的にどこまで書くべきかは業態によって変わります。判断に迷う場合は、弁護士など専門家にご相談ください。
「顔が見えない」を別の形で補う
住所や電話に制約があるなら、別の角度から信頼を積みます。実績数、対応地域、代表者の経歴、これまでの相談事例などを具体的に書くのが有効です。
取材記事や外部メディアへの寄稿、資格の登録情報など、自社の外にある裏付けにリンクするのも効果があります。自分で名乗るより、第三者の記録のほうが強く働きます。
信頼されない会社概要ページによくある5つの失敗

ここからは逆の視点です。せっかくページがあるのに効いていないパターンを5つ挙げます。
自社のページを別タブで開きながら読むと、当てはまるものが見つかりやすくなります。
①テンプレートのまま情報が薄い
制作会社が用意した雛形に、会社名と住所だけを入れて完成にしているケースです。表が3行しかない会社概要は珍しくありません。
ここに事業内容の説明、沿革、代表者の考えを足すだけで、読み物として成立します。文字数を稼ぐ必要はありませんが、「読んだ人が判断できる材料が揃っているか」という基準 は必要です。
②画像1枚で作られていて文字が読めない
デザイン重視で、会社概要の表を画像として貼っているサイトがあります。見た目は整いますが、検索エンジンはその中身を読み取れません。
住所も電話番号も画像の中にあると、コピーもできず、スマートフォンからの電話発信もできません。テキストで書くのが原則です。
③情報が古いまま止まっている
移転したのに旧住所が残っている、5年前の従業員数のまま、という状態です。ひとつでも古い情報があると、他の記載も疑われます。
年に1回、決算のタイミングなどで見直す習慣をつけてください。更新日を明記しておくと、管理していることが読み手にも伝わります。
④実績の数字があいまい・誇張
「多数の実績」「業界No.1」といった表現は、根拠がないと逆効果になります。とくに順位や効果を断定する表現は避けるべきです。
「2015年から累計1,000件以上」のように、期間と数を具体的に書けば信頼につながります。数えられない数字なら、無理に書かないほうが安全です。
⑤サイト内から行き着けない
会社概要ページは存在するのに、トップページからリンクが張られていないことがあります。フッターにも入っていなければ、実質的に存在しないのと同じです。
グローバルナビゲーションかフッター、できれば両方から常にたどれる状態にしてください。内部リンクの考え方は次の記事で詳しく整理しています。

執筆者プロフィール(著者ページ)とセットで作る

会社概要が「組織は何者か」を示すページだとすれば、著者ページは「この記事を書いたのは誰か」を示すページです。
Googleが挙げる「誰が」の観点では、この2つはセットで機能します。ブログを運営しているなら、あわせて用意してください。
記事に署名(バイライン)を置く
記事の冒頭または末尾に、執筆者名を表示します。表示するだけでなく、その名前から詳しいプロフィールにリンクさせることが大切です。
Googleの公式ドキュメントも、署名から著者の経歴や専門分野の情報にたどり着けるようにすることを勧めている と述べています。名前だけを置いて終わりにしないでください。
著者ページに書くべきこと
氏名、顔写真、保有資格、経歴、担当している領域、実績を書きます。「何年この分野に関わってきたか」は特に効きます。
たとえば筆者の場合、Web制作に10年以上携わり、これまで延べ1,000件を超えるサイトの制作・改善に関わってきたこと、全日本SEO協会の認定SEOコンサルタントであることを明記しています。
肩書きを並べるより、読み手が「この人なら知っていそうだ」と感じられる具体性のほうが重要です。
外部の裏付けにリンクする
資格の認定団体のページ、講演や寄稿の記録、業界団体の会員一覧など、自社の外にある情報へリンクします。
自社サイト内だけで完結した経歴より、第三者が公開している記録のほうが検証しやすく、説得力があります。
AIを使って書いているなら、その説明も検討する
Googleは「どのように作られたか」の観点で、自動生成やAIの利用について開示することを有益だと説明しています。禁止されているわけではなく、隠すことが問題になります。
AIで下書きを作り、専門家が確認・加筆しているなら、その体制を書いてしまうほうが誠実です。検索順位を操作することを主な目的として自動生成を使うことは、スパムポリシー違反にあたる とGoogleは述べています。量そのものが問題なのではなく、目的が問われています。
AI検索で引用されるための考え方は、こちらの記事でまとめています。

公開したあとにやる4つの実務(SEO設定と効果確認)

ページを作っただけでは、検索から見つけてもらえません。最後に、公開後の設定と確認を4つに整理します。
どれも1時間かからない作業です。順番に進めてください。
URL・タイトル・説明文を整える
URLは「/company/」「/about/」のような短く分かりやすい英字にします。日本語URLは共有時に文字化けするため避けたほうが無難です。
タイトルには会社名と「会社概要」または「運営者情報」を入れます。説明文(メタディスクリプション)には所在地と事業内容を入れておくと、検索結果で判断してもらいやすくなります。
フッターとグローバルナビからリンクする
全ページの共通部分からリンクを張ります。これによりクローラーが確実にたどり着けるようになり、読み手もどのページからでも会社情報を確認できます。
記事内で「筆者の会社では」といった記述をするときも、会社概要へリンクしておくと自然な導線になります。
構造化データ(Organization)で機械にも伝える
会社名・ロゴ・住所・電話番号・SNSアカウントなどを、Organizationという形式の構造化データで書いておくと、検索エンジンが情報を正確に読み取りやすくなります。
WordPressであれば、SEO系プラグインの設定画面に会社情報を入力するだけで出力されるものが多くあります。手書きのコードを触る必要はありません。
構造化データの入れ方と確認方法は、こちらで手順を追って解説しています。

会社名での検索(指名検索)の動きを見る
会社概要を整えた効果は、会社名や代表者名での検索に現れやすくなります。サーチコンソールで、会社名を含む検索語の表示回数とクリック数を見てください。
あわせて「会社名+地域名」「会社名+サービス名」といった語も記録しておくと変化を追えます。AccessScopeのような順位チェックツールを使えば、こうしたキーワードの推移を自動で記録できます。
公開直後に順位が付かなくても心配は要りません。反映には時間がかかるため、数週間単位で見るのが現実的です。
よくある質問
会社概要ページを作るだけで検索順位は上がりますか?
このページ単体で大きく順位が動くと考えないほうがよいです。会社概要は、サイト全体の信頼性を支える土台として働きます。
ただし、会社名や代表者名での検索では直接的に効きます。また、他のページの評価を下支えする役割があるため、優先度は高い施策です。
「会社概要」と「運営者情報」はどちらの名前がよいですか?
法人であれば「会社概要」、個人事業やメディアサイトであれば「運営者情報」が一般的です。中身が同じであれば、どちらでも問題ありません。
迷う場合は「会社概要(運営者情報)」のように併記しても構いません。読み手が探しているときに見つけられることが最優先です。
プライバシーポリシーや特定商取引法の表記も同じページにまとめてよいですか?
分けることをおすすめします。それぞれ目的も更新頻度も違うため、別ページにして会社概要から相互にリンクするほうが管理しやすくなります。
特定商取引法に基づく表記は法令で求められる項目が決まっているため、独立したページとして分かりやすい位置に置いてください。
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まとめ|会社概要は、いちばん費用対効果の高いページ
会社概要・運営者情報ページは、新しく記事を書くよりずっと短い時間で作れて、しかもサイト全体の信頼性に効きます。Googleが最も重視する要素が信頼性である以上、ここを空欄のままにしておく理由はありません。
載せるべきは、正式な会社名、代表者名、所在地、連絡先、設立年、事業内容、許認可や資格、写真、そして関連ページへのリンクです。住所や電話に制約がある場合も、隠すのではなく代替手段と具体的な実績で補えます。
今日できることを1つ挙げるなら、自社の会社概要ページを開いて、上の9項目のうち何が抜けているかを数えてみてください。3つ以上抜けているなら、記事を1本書くより先にそこを埋めるほうが成果につながります。
自社サイトが会社名やサービス名でどのくらい見つかっているかを確かめたい方は、AccessScopeの無料プランをお試しください。https://app.access-scope.jp/ からサイトURLを入れるだけで、10キーワードまで無料で順位を自動記録できます。クレジットカードの登録は不要です。
AccessScopeは、栃木県下野市の株式会社アクセス・リンクが開発・運営しています。代表の三田健司は全日本SEO協会の認定SEOコンサルタントで、Web制作に10年以上、延べ1,000件を超えるサイトの制作・改善に携わってきました。本記事も、Googleの公式ドキュメントと実務での経験にもとづいて執筆しています。

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