学習塾のホームページを作ったのに体験授業の申し込みが来ない、チラシと比較ポータルサイトの費用ばかりが増えていく。中小の学習塾から、こうしたご相談をいただくことが増えています。
結論から言うと、先に手をつけるべきは合格実績の見せ方ではありません。保護者が実際に検索している言葉に自社のページを合わせることと、Googleビジネスプロフィールを校舎ごとに正しく整えることです。
この記事では、塾を探す保護者の検索行動、合格実績の表示に関する業界ルール、校舎ごとのMEO、体験申込につながるページの作り方までを順に整理します。専門用語はできるだけ使いません。
読み終えたときに「来週まずこの3つを直そう」と言える状態を目指します。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
なぜ学習塾のホームページから体験申込が来ないのか

保護者は塾名ではなく「地域+学年+悩み」で探している
塾を探し始めた保護者が最初に検索するのは、塾の名前ではありません。「◯◯市 中学生 塾」「◯◯駅 個別指導」「中2 数学 苦手 塾」といった、地域と学年と困りごとの組み合わせです。
ところが多くの塾のホームページは、トップページに教室の理念と合格実績を並べただけの構成になっています。保護者が入力した言葉が、サイトのどこにも書かれていないという状態が起きています。
比較ポータルサイトが上位を占める構造になっている
「◯◯市 塾」で検索すると、上位は塾の比較ポータルサイトで埋まりがちです。掲載塾を横並びで見せるページのほうが、検索する人の「まず候補を知りたい」という目的に合っていると判断されているためです。
この構造は、個々の塾の努力だけで簡単に変わるものではありません。だからこそ、ポータルサイトが手を出しにくい言葉を狙う設計が必要になります。
合格実績だけでは決め手にならない
合格実績は塾選びの材料のひとつですが、それだけで申し込みが決まることは多くありません。保護者が本当に知りたいのは、うちの子に合うかどうかです。
対応している学年と科目、1コマの時間、振替の可否、送迎や自習室の有無。こうした具体的な条件が書かれていないページは、比較の段階で候補から外れます。

塾を探す保護者の検索行動を3段階で捉える

悩みの段階|「中2 数学 ついていけない」
最初の段階では、保護者はまだ塾を探しているとは限りません。子どもの成績や学習習慣についての悩みを、そのまま言葉にして検索しています。
この段階の人に向けた記事は、すぐには申し込みにつながりません。それでも、後から「あのとき読んだ塾」として思い出される入口になります。
比較の段階|「◯◯市 個別指導 料金」
塾に通わせる方針が固まると、検索は一気に具体的になります。地域名に、個別指導・集団・料金・口コミといった条件が付き始めます。
この段階の言葉こそ、自社サイトが正面から取りに行くべき場所です。ポータルサイトも強い領域ですが、条件を細かくするほど勝ち目が出てきます。
指名の段階|「◯◯ゼミナール 評判」
最後は塾名そのもので検索されます。ここで出てくるのが自社サイトではなく口コミサイトだけ、という状態は避けたいところです。
塾名で検索されたときに、料金・時間割・講師紹介・体験申込がすぐ見つかる状態をつくっておきます。
読んでいるのは生徒ではなく保護者
小中学生向けの塾では、検索して読み、申し込むのは保護者です。文章の語りかけ先を保護者に固定するだけで、ページの伝わり方は変わります。
一方で高校生・浪人生向けの講座では、本人が検索するケースも増えます。対象学年ごとにページを分けておくと、書き分けがしやすくなります。

合格実績の書き方には業界の共通ルールがある

全国学習塾協会の自主基準が2024年に改正された
公益社団法人全国学習塾協会は、2024年7月1日に「学習塾業界における事業活動の適正化に関する自主基準実施細則」のうち、合格実績の算出方法を改正したことを全国の塾事業者へ周知しています。
オンライン指導など授業形態が多様になったことを踏まえ、多くの事業者が透明性のある合格実績を開示できるよう、より適合しやすい基準にしたものだと説明されています。
何を合格実績に数えてよいのか
改正後の基準では、合格実績に含められる生徒は「受験直前の6か月間のいずれかに在籍があり、かつ同期間に受講契約にもとづく30時間以上の受講の実態がある生徒、あるいは継続して3か月以上の受講の実態がある生徒」とされています。
ここでいう在籍とは、入塾申込書などの契約書面を取り交わし、有料講座への料金の納入が証明できることを指します。体験授業や模試の受験だけの生徒は数えられません。
受講には、対面授業への出席のほか、オンライン受講や映像の視聴も含まれます。逆に、体験講習・無料講習・自習・補習や、単に教室内にいただけの時間は含まれないとされています。
グループ合算と受験種別の内訳
同じ生徒がグループ内の複数の塾でカウント要件を満たした場合でも、グループ全体の合格者数を出すときに重複して数えることはできないと定められています。
また、同一系列校の小学校受験・中学校受験・高校受験・大学受験の内訳を示さずに、合計だけを表示することもできないとされています。
過去には消費者庁の措置命令も出ている
2011年4月には、大学入試の合格実績の表示をめぐって、学習塾を運営する複数の事業者に対して消費者庁が景品表示法にもとづく措置命令を出しています。加盟塾の実績を加算していた、対象のサービスを受講していない生徒を加算していた、といった点が問題とされました。
合格実績は集客の要になる情報だからこそ、数え方と表示範囲を先に社内で決めておくことをおすすめします。協会は自己評価シートのすべてに適合した事業者向けに「合格実績自己適合宣言マーク」も用意しており、こちらは年ごとの更新制です。

Googleビジネスプロフィールを校舎ごとに整える

校舎ごとに1つ、が原則
Googleのビジネス情報のガイドラインでは、アカウントが同じか別かに関わらず、ビジネスの拠点ごとに複数のページを作成することはできないと明記されています。
裏を返せば、実際に教室があって看板が常設されている校舎なら、校舎ごとにプロフィールを持てます。本部の1つだけで運用している塾は、地図からの流入を取りこぼしています。
教室名の付け方に注意する
ガイドラインは、同一国内の拠点は場所に関わらず同じ名称にすると定めています。公式の例では、店舗コードや所在地の情報を名前に足すことは認められていません。
実務では地名入りの校舎名を見かけることもありますが、原則はブランド名で統一し、場所は住所欄で伝える形です。「入会金無料」のようなキャッチコピーを名前に入れるのは、明確な違反にあたります。
説明文にキャンペーンとリンクは書けない
ビジネスの説明欄には、特別キャンペーン・特別料金・特典などを過度に強調するコンテンツや、リンクを含むコンテンツを掲載できないとガイドラインに書かれています。
「今なら入会金0円」といった訴求は、説明欄ではなく最新情報の投稿やホームページ側で行ってください。説明欄には、指導方針や対象学年など、教室そのものを説明する情報を入れます。
営業時間は「指定しない」ほうがよい場合がある
意外と知られていませんが、ガイドラインは、レッスンのようにその日の活動でスケジュールが決まるビジネスや完全予約制のビジネスについて、営業時間を指定しないよう案内しています。指定すべきでないビジネスの例として、学校や大学が挙げられています。
学習塾がこの例に含まれるとは明記されていません。授業の曜日によって開いている時間が変わる教室なら空欄にし、受付時間が毎日一定なら指定する、という判断が現実的です。

体験授業の申込につながるページの作り方

体験授業で何をするかを先に書く
「無料体験受付中」だけでは、保護者は申し込みボタンを押せません。当日の流れ、所要時間、持ち物、保護者の同席の可否、その場で勧誘があるかどうかまで書いて、はじめて不安が消えます。
申し込みを止めているのは料金ではなく、何が起きるか分からないという不安です。ここを埋めるだけで、同じアクセス数でも申込数は変わります。
料金を出さない塾は比較の土俵に乗れない
料金体系が複雑で書きにくい、という声はよく聞きます。それでも、学年別の月謝の目安と、入会金・教材費・季節講習費の有無だけは示しておきたいところです。
「詳しくはお問い合わせください」だけのページは、比較検討の段階で候補から外れます。目安と条件を書いたうえで、正確な金額は面談で確定する、という形が現実的です。
申込フォームまでの距離を短くする
体験申込のボタンは、トップページの目立つ位置と、各ページの本文の途中、そして末尾に置きます。入力項目は、名前・学年・連絡先・希望日程の4つ程度まで絞ります。
電話での問い合わせが多い地域では、スマートフォンでタップすればそのまま発信できる形にしておいてください。
保護者の不安に答えるページを別に持つ
送迎、部活との両立、振替、退塾のしやすさ、講師の交代。こうした質問は、体験申込ページに詰め込むより、独立したページにしたほうが検索からも入ってきます。
実際に保護者から受けた質問を、そのまま見出しにするのがコツです。社内の言葉ではなく、検索されている言い回しに自然と近づきます。

誰が教えているかを示すことが信頼につながる

講師紹介は写真と担当科目まで
個人情報の観点から本名を出しにくい場合でも、担当科目・指導歴・専門分野・一言メッセージまでは載せられます。顔写真が難しければ、授業中の様子を後ろから撮った写真で代替します。
Googleは、誰が・どのように・なぜ作ったコンテンツなのかを示すことを繰り返し案内しています。塾のサイトでは、これが講師紹介と教室紹介にあたります。
教室の写真は外観・自習室・授業風景の3点
保護者が知りたいのは、通う場所の雰囲気と安全性です。外観は道路から見た角度で、自習室は実際に使われている時間帯に撮ると伝わります。
写真は使い回しのイメージ素材ではなく、必ず自分の教室のものを使ってください。他所の写真は、見る人に必ず伝わります。
クチコミの返信に生徒名や学校名を書かない
Googleのポリシーでは、個人情報や機密情報を含むコンテンツを投稿することは許可されていません。返信で生徒名・学校名・成績に触れることは、たとえ好意的な内容でも避けてください。
「ご投稿ありがとうございます。これからも一人ひとりに合わせた指導を続けてまいります」といった、個人が特定されない書き方で十分です。


AI検索で「◯◯市 塾 おすすめ」に選ばれるには

AI向けの特別な対策は不要だとGoogleは説明している
Googleは生成AI検索向けの最適化について、AI用の特別なファイルやマークアップは不要で、コンテンツを細かく区切る加工やAI向けの書き直しも必要ないと公式に説明しています。
AI検索で参照されるための近道は、通常の検索で読まれるページを作ることです。塾のサイトで言えば、条件がはっきり書かれたページを用意することにほかなりません。
条件を「文章として」書いておく
「小学生から高校生まで対応」「英語と数学に強い」だけでは、AIが候補として選ぶ材料になりません。対応学年、科目、曜日と時間帯、1クラスの人数、送迎の可否を、文章として書いておきます。
Googleマップ側でも、2026年8月に日本で提供が始まった「マップに相談」のように、話し言葉の条件で場所を探す機能が広がっています。属性欄が埋まっていない教室は、候補から外れやすくなります。

AI検索での見え方はサーチコンソールで確認する
2026年6月に、サーチコンソールへ生成AI機能のパフォーマンスを見るレポートが追加されました。AIによる概要やAIモードでの表示回数を、通常の検索結果と分けて確認できます。
ただし分かるのは表示回数とその内訳が中心で、クリック数・クリック率・検索語句・掲載順位は含まれません。段階的な提供のため、まだ表示されないアカウントもあります。

最初の90日でやること

1か月目|現状を数字で把握する
サーチコンソールを設定し、いま自社サイトがどんな言葉で表示されているかを見ます。あわせて、Googleビジネスプロフィールを校舎ごとに確認します。
体験申込の件数を、月単位で記録し始めてください。改善の効果は、順位ではなく体験申込の件数で判断します。
2か月目|土台を整える
料金ページ、講師紹介、教室紹介、体験授業の流れ。この4本を新しく作るか、作り直します。合格実績のページは、数え方と表示範囲の但し書きを添えて整えます。
校舎が複数ある塾は、校舎ごとのページを1枚ずつ用意します。住所・電話番号・時間割を校舎単位で書き、Googleビジネスプロフィールの表記と揃えてください。

3か月目|相談系の記事を3本つくる
「中2から塾に通い始めるのは遅い?」「個別指導と集団授業の違い」「塾と家庭教師のどちらを選ぶか」。保護者から実際に聞かれる質問を、そのまま記事にします。
1本あたり2,000字前後で構いません。大切なのは本数よりも、実際に受けた相談から書くことです。他社のサイトを言い換えただけの記事は、読んでも申し込みにつながりません。
効果の見方
SEOの反映には時間がかかります。Googleも、変更が反映されるまで数時間から数か月かかることがあり、一般的には数週間待ってから確認するよう案内しています。
順位が上下しても慌てず、狙っているキーワードの動きを毎日記録して、体験申込の件数と並べて見てください。

よくある質問(FAQ)

Q. 塾の比較ポータルサイトはやめるべきですか
いいえ。ポータルサイトは、今すぐ塾を探している保護者に届く経路なので、すぐに切る必要はありません。
ただし、掲載料に対して問い合わせが何件来ているかは必ず記録してください。自社サイトからの申込が増えてきた段階で、掲載プランを見直す判断ができます。
Q. 合格実績はどこまで細かく書けばいいですか
数え方と対象範囲を添えることをおすすめします。「当塾に3か月以上在籍した生徒の実績」「◯◯校舎のみの実績」といった但し書きです。
全国学習塾協会の自主基準は、加盟の有無にかかわらず参考になります。表示している実績が事業主体の全部なのか一部なのかを明示することが求められています。
Q. 校舎ごとにホームページを分けたほうがいいですか
サイトそのものを分ける必要はありません。1つのサイトの中に、校舎ごとのページを1枚ずつ用意する形で十分です。
サイトを分けると更新の手間が校舎の数だけ増え、内容も似通ってしまいます。校舎ページに住所・電話・時間割・アクセスを書き、Googleビジネスプロフィールから各校舎ページへリンクしてください。
Q. 効果が出るまでどのくらいかかりますか
地域名を含む言葉であれば数週間から数か月、競合の多い一般的な言葉なら半年以上を見込んでおくのが現実的です。
期間や順位を確約することはできません。数字として先に動くのは体験申込の件数であることも多いので、順位だけを見て判断しないでください。
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まとめ|合格実績を並べる前に、条件と体験の中身を書く
学習塾の集客は、合格実績の見せ方だけで決まりません。保護者が検索しているのは「◯◯市 中学生 塾」「◯◯駅 個別指導 料金」のような、地域と学年と条件の組み合わせだからです。
まず整えるべきは、料金の目安・対応学年と科目・体験授業で何をするかという、比較のための情報です。そのうえで、校舎ごとにGoogleビジネスプロフィールを持ち、名称や説明文をガイドラインどおりに保ちます。
合格実績を出すときは、全国学習塾協会が2024年7月に改正した自主基準を目安に、数え方と表示範囲を但し書きとして添えてください。過去には表示をめぐって措置命令が出た例もあり、正確に書くこと自体が信頼につながります。
AI検索についても、特別な対策は必要ないとGoogleが説明しています。やるべきことは、条件がはっきり書かれたページを用意するという、これまでと同じ作業です。
今日できることを1つ挙げるなら、自社サイトを開いて「料金の目安」と「体験授業の流れ」が書かれているかを確かめることです。書かれていなければ、それが来週の最初の1本になります。
そのうえで、狙っているキーワードの順位が日々どう動いているかを残しておきたい方は、AccessScopeの無料プランをお試しください。サイトのURLとキーワードを登録するだけで、毎日自動で順位を記録します。10キーワードまで無料・クレジットカードの登録も不要です。

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