順位チェックツールの乗り換えは、面倒そうに見えて、実際にやってみると1時間ほどで終わります。それでも多くの方が手を付けられずにいるのは、「過去のデータをどうすればいいのか」が分からないからではないでしょうか。
何年も積み上げてきた順位の記録は、自社サイトがどう育ってきたかを示す資料です。これを失うかもしれないと思うと、手が止まるのは当然だと思います。
この記事では、GRCから別のツールへ移るときの手順を5つのステップに分けて説明します。過去データの残し方から、移行直後に必ず確認すべきこと、そして「またすぐ止まってしまう」を防ぐ運用の決め方までを、順番どおりに書きました。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
全体像|乗り換えは5つのステップで終わります
先に全体を示します。この順番でやれば、途中で迷うことはありません。
- GRCの過去データをCSVで書き出す(15分)
- 追いかけるキーワードを10前後に絞る(20分)
- 新しいツールに登録し、サイトURLとキーワードを入れる(10分)
- 翌日以降、順位が正しく取れているかを確認する(5分×数日)
- いつ・誰が見るかを決めて、習慣に組み込む
ポイントは、ステップ1と2を先に済ませることです。いきなり新しいツールに登録すると、結局は古いキーワードをそのまま移すだけになり、乗り換えの効果が半減します。
ステップ1|GRCの過去データをCSVで書き出す
最初にやるべきは、これです。GRCのGoogle順位チェック機能は2026年2月5日に廃止されましたが、公式に「過去の順位履歴データは削除されず、閲覧することができます」と明記されています。つまり、まだ手元に残っています。
なぜ今すぐ書き出すのか
データが残っているのは、GRCをインストールしたそのパソコンの中だけです。パソコンが故障したり、買い替えや初期化をしたりすれば、当然そこで失われます。
「まだ見られるから大丈夫」と考えているうちに、数年分の記録がなくなるのが最悪の結末です。CSVに書き出すのは数分の作業ですから、先に済ませてしまいましょう。
書き出したファイルの置き場所を決める
保存先は、パソコンの中だけにしないでください。GoogleドライブやDropbox、OneDriveなどのクラウドストレージにも同じファイルを置いておきます。パソコンが壊れても残る場所に、必ず1つ。
ファイル名には日付を入れておくと、あとで探すときに助かります。「順位履歴_2026-08.csv」のような形で十分です。
記録が止まった日を確認しておく
あわせて、Googleの順位が最後に記録された日を確認しておきましょう。多くの場合、2025年8月28日前後で止まっているはずです。
この日付を控えておくと、後から推移を振り返るときに「ここからここまでは欠測」と説明できます。上司やクライアントに報告する立場の方には、特に効いてきます。

ステップ2|追いかけるキーワードを10前後に絞る
ここが、乗り換えでいちばん価値のある作業です。何年も使っていると、登録キーワードには「もう追う必要のない言葉」がかなり溜まっています。
なぜ絞るのか
200個の順位を眺めても、人は動けません。毎朝見て「これは手を打つべきだ」と判断できるのは、現実には10個前後です。数が多いほど、かえって何も見なくなります。
クラウド型のツールは登録できる数に上限があるものが多いのですが、これは制約というより、むしろ絞る手助けになると考えてよいと思います。
10個の配分の目安
次の配分から始めると、まず失敗しません。
- 指名キーワード(会社名・店名・サービス名)を2つ:ここが落ちていたら異常事態です
- 売上に直結する主力の言葉を3〜4つ:問い合わせにつながる、いちばん大事な言葉
- 地域名との組み合わせを3〜4つ:「◯◯市 ◯◯」の形。競合が少なく、動きも見えやすい
- これから狙う新しい言葉を1〜2つ:記事を書いた後の効果を見るため
迷ったら、実際にお客様が電話口で言う言葉を思い出してください。業界の専門用語より、そちらのほうが検索されています。

外した言葉も、記録には残しておく
今回は追わないと決めた言葉も、メモとして残しておきましょう。事業の方向が変われば、また戻ってくることがあります。ステップ1で書き出したCSVと同じ場所に、テキストファイルで置いておけば十分です。
ステップ3|新しいツールに登録する
ここまで準備できていれば、登録作業そのものは10分で終わります。ただし、1つだけ絶対に間違えてはいけない項目があります。
サイトURLは、1文字も間違えてはいけません
当社のツールで、実際にこんなことがありました。ご登録いただいた方が、対象サイトのURLを「.net」と入力すべきところ「.ner」と1文字だけ打ち間違えたのです。
結果はどうなったか。そのサイトは実際には3つのキーワードで1位を取っていたにもかかわらず、画面上は10キーワードすべてが「圏外」と表示され続けました。順位ツールは検索結果の中から「登録されたURLと一致するもの」を探すため、1文字違えば別のサイトとして扱われ、永久に見つからないのです。
これはどのツールでも起こりえます。入力したら、ブラウザのアドレス欄からコピーした文字列と見比べてください。手で打たず、実際に表示されているサイトのURLをコピーして貼り付けるのがいちばん安全です。
「www」の有無、httpsかどうかも確認する
「www」が付くかどうか、「http」か「https」か。これも間違えやすいところです。ツールによっては自動で吸収してくれますが、そうでないものもあります。
確認方法は簡単です。ブラウザで自社サイトを開き、アドレス欄に表示されている文字列をそのままコピーする。これだけで確実です。
キーワードは表記ゆれに注意する
「リフォーム 宇都宮」と「宇都宮 リフォーム」は、検索結果が異なる場合があります。単語の間は半角スペースで区切り、実際にお客様が打ちそうな順番で登録してください。
迷ったら、両方を登録して1週間比べてみるのも手です。差が無ければ、片方を外せば済みます。
ステップ4|最初の1週間で必ず確認すること
登録して安心してしまうと、間違いに気づけません。最初の数日だけ、5分でいいので画面を開いてください。
全部が「圏外」なら、まずURLを疑う
登録した10キーワードのすべてが圏外と表示されているなら、ほぼ確実に設定の問題です。SEOの実力の問題ではありません。
確認の順番は、①サイトURLの入力ミス、②「www」やhttpsの違い、③そもそもGoogleにインデックスされているか、の3つです。3つ目は、Googleの検索窓に「site:自社サイトのURL」と入力すれば確かめられます。1件も出てこなければ、順位以前の問題ということになります。

GRC時代の順位と数字がずれても、慌てない
同じキーワードでも、ツールが変われば順位の数字は1つ2つずれます。広告枠やAIによる回答、地図枠を順位に数えるかどうかの扱いが、ツールごとに違うためです。
大事なのは、同じツールの中での推移です。数え方の基準が一貫していれば、上下の動きは正しく読めます。「前のツールでは5位だったのに」と比べるのは、この時点でやめてしまいましょう。
スマートフォンの順位も見られるか確認する
多くの中小企業のサイトでは、アクセスの半分以上がスマートフォンからです。パソコンの順位だけを見て判断すると、実態とずれます。
スマートフォンの順位に対応しているツールなら、主要な2〜3キーワードだけでも登録しておくと、見え方の差に気づけます。
ステップ5|記録を仕事の習慣に組み込む
ツールを入れただけで順位が上がることはありません。見て、気づいて、手を打つところまでを仕組みにして、はじめて意味を持ちます。
「いつ・誰が見るか」を決める
おすすめは、週1回・5分です。毎日見ると小さな上下に振り回されますし、月1回では動きに気づくのが遅すぎます。
曜日と担当者を決めて、カレンダーに繰り返しの予定として入れてしまうのが確実です。「気づいたときに見る」では、まず続きません。
順位とアクセス数はセットで見る
順位が上がったのにアクセスが増えていない、ということが最近は普通に起こります。検索結果の上部にAIによる回答が入り、そこで用が足りてしまうためです。
ですから、順位だけを見て一喜一憂しないでください。サーチコンソールのクリック数と並べて見ると、実態が分かります。

動いたときの切り分け方を決めておく
順位が大きく下がったとき、原因は大きく3つに分かれます。Google側の大きな更新があったのか、自社サイトを触ったからか、競合が動いたからか。
1つ目は、Googleが公開している検索ステータスのページで日付を照合すれば分かります。多くのキーワードが同じ日に一斉に動いていれば、まずこちらを疑います。

乗り換えを機に、やっておくと差がつく3つのこと
せっかく設定をやり直すのですから、これまでやっていなかったことを1つ2つ足しておくと、次の半年の見え方が変わります。どれも追加の費用はかかりません。
競合を1社だけ登録しておく
自社の順位だけを見ていると、「下がった=自社が悪い」と考えがちです。ところが実際には、競合が新しい記事を出して押し上げられただけ、ということがよくあります。
多くのツールには競合サイトを登録する枠があります。同じ商圏で一番よく見かける1社を入れておくだけで、順位の上下が「自社の問題か、相手の動きか」を切り分けられるようになります。

サイトを触った日をメモに残す
記事を公開した日、タイトルを変えた日、内部リンクを整理した日。こうした作業の日付を、カレンダーやメモに1行だけ残しておいてください。
順位が動いたとき、この記録があるかどうかで解釈の精度がまったく違います。「3週間前にタイトルを変えた記事だけが上がっている」と分かれば、次に何をすべきかが自然に決まります。順位データは、打ち手の記録とセットになって初めて意味を持ちます。
AI検索での見え方も測り始める
検索結果の上部にAIによる回答が入るようになり、順位とアクセスの関係は以前より複雑になりました。2026年6月3日には、サーチコンソールに生成AIに関するレポートも追加されています。
ただし、こちらで分かるのは表示回数とその内訳が中心で、クリック数や検索語句、掲載順位は含まれていません。ChatGPTやPerplexityといった検索以外のAIでどう扱われているかは、また別の話になります。今の段階では「順位」「アクセス」「AIでの言及」の3つを別々の指標として持っておくのが現実的です。

よくある質問(FAQ)
GRCの過去データを、新しいツールに取り込めますか?
ツールによります。GRCやFerret RCのデータを取り込む機能を標準で備えているサービスもありますが、多くはゼロから記録し直しになります。過去の推移はCSVで手元に残し、これからの記録は新しいツールで積む。この二本立てが現実的です。
移行期間は、両方を動かしたほうがいいですか?
Googleの順位に関しては、GRC側がすでに取得できないため、並行して動かす意味はほとんどありません。Yahooの順位も見ておきたい場合のみ、GRCを残しておく形になります。
乗り換えたら順位が下がりました。移行が原因ですか?
ツールを変えても、実際の順位には何の影響もありません。表示される数字がずれているだけの可能性が高いです。複数のキーワードで同じくらいのずれ幅なら、まず数え方の違いを疑ってください。
キーワードは、あとから変更できますか?
ほとんどのツールで変更できます。ただし、入れ替えたキーワードは新しく記録が始まるため、過去の推移はありません。頻繁に入れ替えると比較ができなくなりますので、最初の10個は少し時間をかけて決めることをおすすめします。
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まとめ|今日やるのは、CSVの書き出しとキーワードの絞り込みだけ
乗り換えを難しくしているのは、作業そのものではなく「何から手を付けるか」が分からないことです。順番さえ決まっていれば、1時間で終わります。
今日やるべきは2つだけです。GRCの過去データをCSVで書き出してクラウドにも置くこと。そして、追いかけるキーワードを10前後に絞ること。この2つが終われば、あとはツールに入力するだけです。
そして、登録した翌日に必ず画面を開いてください。全部が圏外なら、実力ではなくURLの入力を疑う。これだけ覚えておけば、いちばん多い失敗を避けられます。
AccessScopeは、サーバー側が毎日自動で順位を記録するクラウド型のツールです。サイトのURLと調べたいキーワードを入れるだけで、10キーワードまで無料で記録できます。パソコンの起動もクレジットカードの登録も不要ですので、無料登録して、止まっていた記録を今日から再開してみてください。
この記事は、全日本SEO協会認定SEOコンサルタントであり、Web制作に10年以上、延べ1,000件以上のサイトに携わってきた三田健司が執筆しました。GRCの提供状況および過去データの取り扱いについては、開発元であるSEOツールラボ(有限会社シェルウェア)の公式サイトを2026年8月13日に確認した内容にもとづいています。記事中で紹介したURL入力ミスの事例は、当社が提供するAccessScopeで実際に発生したものです。なお、掲載内容は同時点の情報です。

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